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Blast 後編②

ダンジョンから戻ると、医者やギルドに例の植物について報告しておいた。 だが、やはり日にち薬しかないらしい。 ギルドの方では感謝されたものの、記録の書き換えに大忙しになったらしい。知ったこっちゃないが。 それからまた数日経って、ヴィーノが目を覚ましたと医療施設の受付で聞き、あいつの部屋まで走り抜けた。 ヴィーノはベッドから身体を起こし、ぼんやりと虚空を眺めていた。 「ヴィーノ!」 虚な表情でこちらを向き、顔を顰める。 ギラリと光る剣先を思い出し一瞬身構える。 「アルゴ・・・か・・・?」 おい、嘘だろ。何誰だか分かりませんって面してんだよ。 こっちはお前に散々振り回されていたんだぞ。 「悪い、まだ頭ん中がごちゃごちゃしてんだ。正直、アンタの事もよく思い出せない」 ヴィーノは唸りながら頭に手を当てる。 「お前、マジでふざけんなよ!」 ヴィーノの胸ぐらを掴んで怒鳴れば、看護師がすっ飛んできた。 まだ記憶が混濁しているのだと必死で宥められた。そんなことはわかっている。 だけど、抑えられなかったんだ。 「まだ、俺を待たせる気かよ・・・・・!」 ベッドの横でそう吐き捨てても、ヴィーノはすまなさそうに眉を下げるだけだった。 病室から締め出されて、酒でも飲まないとやっていられなくて、『苔庭のイタチ亭』に向かった。 そういやテオにこの前の詫びを入れないとな。ヤツの好物の岩石豚の生ハムとキラービー酒を持っていった。それから、ヴィーノの事についても話した。 「おやおや、記憶が・・・。それはいい度胸、いえ、おいたわしいですね」 「ハッ、そうだよな。あれだけ派手に暴れておいてな。悪かったよ」 俺のことすらまともに覚えていないなんてな。あれは流石にこたえた。 ブラストを一口飲む。 冷たい液体が腹の中に落ちて、身体の芯から冷えていく心地だ。 「おっちゃんまたそれ?俺、それ舌がピリピリするから嫌いなんだぞ」 ノエリオがピョコンと傍から顔を出す。 「舌がお子ちゃまだからだろ」 ミントの刺激と清涼感が強く、それが苦手な奴らは受け付けないだろう。 「お子ちゃまじゃないぞ。こう見えて二十歳なんだぞ」 「へえ、そいつは驚いた。チビだからもっと下だと思っていたよ」 「チビじゃないんだぞ、耳を入れれば170センチ・・・あうぅ」 ノエリオはスカイに「仕事しろ」ってうさ耳を引っ張られていった。アイツに言われたくはないと思うけどな。裏でよくタバコ吸ってるのを見かける。 「あ、そうだ、ここにヴィーノってヤツが来なかった?」 スカイはうさ耳を掴んだままテオの方を振り向く。俺は身を乗り出した。 「さっき裏でギルドの看護師に聞かれたんだ。ヴィーノってヤツが病院から抜け出したって」 「嘘だろ?!アイツまだ記憶が・・・!」 「は?記憶?」 何がなんだかわからないって顔したスカイや周りの客を無視して、カウンターに金を叩きつけて店を飛び出した。 どこまで俺を振り回せば気が済むんだアイツは! いつもそうだ、ヴィーノはいつだって好きに暴れて、俺はその後始末ばかりだ。

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