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第4話

 和樹の家のインターホンを押す。スピーカーから声がした。すぐ行くから待ってて、と言う。俺は塀に寄り掛かって和樹が出てくるのを待った。塀は白くて吹き付けがしてある高そうな塀だ。流石金持ちの家は違うな。ドーベルマンが繋がれているのが鉄柵の隙間から見えた。しつけが行き届いているのか、あまり鳴かない。  和樹は俺が着ているダウンジャケットに似ているものを着て出て来た。まあ、今の季節に出掛けるんだからこういう服が無難か。ダッフルコートとかだったらサイクリング向きじゃない。それに行先は自然豊かな農林公園だ。泥で汚れてもすぐに落ちるアウターの方がいいだろう。和樹は大荷物を自転車の籠に入れて顔を綻ばせた。そして自転車を車庫から出した。  俺が先に進んで農林公園に向かう。夏に行ったことがあるがその時はお父さんの車でバーベキューをするために行った。お父さんは肉を食べながらビールを飲んで帰りはお母さんが運転した。大人は酒が飲めるからいいな。俺も和樹も高校2年生だからビールを飲めるようになるまでは、まだまだか。成人式が待ち遠しい。  農林公園に着くと、葉を落とした木々たちが密集して生えている。黄色や赤に紅葉している木もまばらにあった。俺は細い道をサンドウィッチを持って歩いた。和樹は後をついて来た。ちょっと歩くと広場がある。そこの脇にはベンチがあって休めるようになっていた。 「ここでお昼でも食べるか?」  ここに着いたときスマホで時間を確認するともう直ぐ1時だった。お昼を過ぎてしまっている。 「うん、あ、俺さ、レジャーシート持って来たよ」 「へえ、気が利くじゃん」  ベンチに座るよりレジャーシートでゆっくり食べた方が休めそうだ。それに食後にゴロゴロ出来る。 「佑太はそこまで思いつかないだろう」  和樹はにんまり笑う。俺はうるせえ、と言った。

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