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第8話
「明日は何する予定?」
信号機で立ち止まったところを和樹に訊かれた。明日は振替休日だ。特になんの予定も無い。でも天気予報では明日は雪だという。自転車人間に雪は厳しいんだよ。去年転んだ痛みがずしんと思い出される。
「なんもないけど寝てるんじゃない、明日は天気が悪いって聞いたよ」
「ふーん、家に来いよ、歩きだって20分くらいだろ。俺が誕生日だってこと覚えてんのか?」
あ、そうだった。すっかり忘れていた。プレゼントを買ってない。一回家に戻ってから駅ビルに行くか。
「お母さんがさ、ケーキ作るんだって、高校生にもなってお誕生日会はないけど、家族でケーキ食ったってつまんないだろう。佑太が来てくれれば、お母さんだって作る張り合いがあるだろうしさ。なあ、来てくれよ」
俺はああ、いいよ、と言った。プレゼントは何がいいかな。和樹は毎朝コーヒーを飲むって言ってたからマグカップなんかいいな。でもそれじゃ安あがりか。ペアのリングをあげたりして。俺はにやにやする。
「あ、原田くんも誘ってみようか?」
ずるっ、なんで原田くんなんか呼ぼうとするんだよ。アイツんち逆の方向だろ。雪の日に来れる訳がない。信号機は青に変わったのに俺たちは横断歩道を渡らずにいた。
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