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第9話

 ああ、それにしても俺の思考は如何にかしている。なんで和樹とペアのリングなんか欲しいと思ったんだ?これじゃ、まるで和樹に気があるみたいじゃないか。男同士でそれはないだろう。でも和樹だったら童貞を失ってもいいと思っている。明日抱いてみようかな。サッカー部の部室で見た上半身裸の身体を思い出す。あの、白くてキメの細かで滑々の肉体を触ってみたい。それに和樹だって俺に少しは気があるから誕生日に来てくれって言っているんだろう。原田くんは置いておいて。あれが好きならデブ専だ。  和樹は俺の気持ちなんか余所に原田くんにLINEを打つと言っている。直ぐに既読が付いたらしい。 「お母さんの車がスタッドレスだから乗っけてきて貰うってさ」  っんだよ。原田くんは空気が読めないな。俺たちは信号機が青に変わったのを見て横断歩道を渡った。  一度家に帰ってから、財布に万札が入っていることを確認して家を出た。ペアのリングを買って驚かせよう。シルバーだったら安いに違いない。いや、いきなりペアだと重いか。でもリングは買ってあげたい。手に指輪をしている高校生に変な虫が付くことはないように思う。和樹は手も俺と似ているのでサイズは一緒かな。でも和樹の手の指の方が長くて細いかもしれない。まあ、中指でも薬指でも入るところにしてくれればいいし、チェーンに下げてくれたって構わない。

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