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第10話
駅ビルに行ってアクセサリーショップに入る。男物の指輪は思いのほか沢山あった。俺はシンプルなシルバーの指輪をはめてみる。店員さんが、そちらは人気の品です、と言う。1時間くらい逡巡して安いシルバーのリングを買った。和樹は喜んでくれるかな、ダセえと笑われたらマジ死ぬぞ。
次の日はやっぱり雪だった。朝の早い時間から降り始めた。お母さんは今日もドラッグストアでパートだ。お父さんは相変わらずゴロゴロしている。簡単な朝食を食べ、和樹にLINEをすると、雪、降っちゃったな、転ばない様にしてゆっくり来いよ。11時くらいまでにはケーキ出来てると思う、とメッセージが来た。じゃあ、お昼も出して貰えるんだな。親子して豆だ。
10時30分に家を出る。見上げると次から次へと雪が舞い落ちてきてダウンジャケットに白く降る積もる。俺はそれを、手ではらいながら慎重に雪道を歩いた。今日は原田くんが居なかったら襲い掛かりたかったが、それはまた後日にしよう。流石に他人が居るところでは出来ない。手を繋ぐのも憚られる。そう考えていたらハタとする。俺、マジで和樹が好きなんだな。アイツは俺のこと如何思ってるんだろう。機会があったら訊いてみよう。
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