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第11話
道路は何時もより通りが少なかった。雪だし、連休の最終日だから出掛ける人が少ないんだろう。しんと静まり返った住宅街を歩いて和樹の豪邸に着く。インターホンを鳴らすとお母さんが玄関の戸を開けてくれた。
「歩いて来てくれたの?和樹が喜ぶんじゃない、どうぞ、上がって、上がって」
「すみません、お邪魔します」
玄関は広くて高そうな靴が並んでいて、芳香剤かな、それっぽい香りがした。
「おお、佑太、来てくれたんだね、原田くんも先に着いてるよ」
「早いな、雪なのに」
俺はちょっと、がっかりして言った。
お母さんはイチゴの乗ったホールケーキとチーズケーキを作ってくれていた。そして若い子たちの邪魔したら悪いからと言って和樹の部屋から出ていった。ここは来るのが初めてではないが、男のくせにやたらと整然としている。散らかり放題の俺の部屋とは違う。そうだ、食べるより先にプレゼントを渡そう。
「これ、昨日買ったんだけど、趣味と違ったら捨ててくれよ」
「え、わざわざ買ってくれたの?開けていい?」
「ああ」
心臓がバクバクする。原田くんが興味津々といった顔をしているのが分かってイラっときた。見世物じゃねえし。
「うわあ、マジ、マジ?これ貰ってもいいのかよ」
喜んでくれてるみたいだ。良かった。俺はフーっと息をはく。
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