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第28話
結局、いらないと何度追い払おうとしてもアルディはアサドの家までついてきた。
よれよれ、何度も休憩を挟みながら移動する「シア」に、手を貸しはしないが離れもしない。
こんな状態の「シア」をひとりにさせたらどうなるか……シアを「穴」として扱う者のひとりとしてわかっていたのかもしれない。
家の扉をノックすると、中から出てきたアサドは再びアルディをぽかっとしそうになったが、さすがにそれは止めた。
違うと何度も繰り返し、猛るアサドを宥めた。
お前がいたらこいつが落ち着かないと告げると、アルディもやっと帰っていった。
考えなければならないことはたくさんある。
けれども、とにかく今は横になりたかった。
シャオメイに飲まされた謎の液体の効果がまだ残っているっぽい。
よたよた階段を上がり、ベッドに潜り込んで身を縮める。穴が疼く。ぎゅっと腕を抱くと乳首に擦れる、それすらもしんどい。
いっそ自分で慰めたいのに、手を伸ばそうとすると身体がそれを許さない。
処女のくせに自分からねだったヤンの気持ちがうっすらとわかった。
こんなものを塗り込められたら、そりゃあんなことになるわ。なんでもいいから中を埋め、手ひどく掻き回してくれと懇願するわ。
可哀想なヤン。やっぱりシャオメイルートのヤンはバッドエンドだと思う。
無理やり考え事をして、意識をそらす。それでもしんどくなってきて、ぎゅっと身を縮める。
そんなことを数回繰り返したとき、アサドが二階に上がってきた。手にはトレーを持っている。
「シア」
名を呼び近づいてくる。
その顔には「シア」を案じる表情しかない。
「大丈夫か。なんか食えそうならと思って、飯もってきたけど……」
「……ごめん、いらない」
こんな風に答えれば、余計に心配をかけるだろう。
わかっていても他に言葉を探すことができなかった。どろりと内蔵を溶かす熱のせいで、思考がうまく働かない。
案の定心配そうに顔を曇らせたアサドが、そっと額から頬にかけてを撫でてきた。そんな刺激にすら身体が震えた。
あ、とちいさな声がもれると、アサドの手が止まる。
じっとこっちを見つめる目の……奥の方の色が変わった。ような気がした。
抱え込んだ膝を掴まれて鼓動が跳ねた。
「や……ッ」
縮こまった身体を開こうとする力に抵抗し、首を振る。
が、アサドの手は膝から退かない。
ゆるゆると身体が解かれる。強引にじゃない。そっとだ。それでもひどく後ろめたかった。こんな身体を見たら、きっとまた助けようとしてくれるだろう。お人好しな男だ。
そう思うのと同時に、狩人の言葉が脳裏をかすめる。
自分の言葉を疑うなら、試しにすこし煽ってみるといい、と。
そんなことできるわけない。
この男を疑うことなどできない。
たったひとりのオレの味方。シアを「穴」として扱わない男。
閉じた身体を開き終えると、すっかり濡れそぼった股間にアサドは驚いたようだった。
何度も達した後のように濡れているが、実際はまだ一度も出していない。ズボンがずらされると、ぴんと勃ったものが視界に飛び込んでくる。特別大きいわけじゃないが、粗チンというほどでもないシアのシア。
触って欲しそうにか細く震えるそれは、数度扱かれただけで破裂した。
先端から飛び出した体液が腹に散ったのがわかった。
けど、身体の疼きはおさまらない。今触って欲しいのは「そこ」じゃない。せっかく出したのにまだ熱い。
アサドは、身を捩る「シア」に、自分の手伝いはまだ終わっていないと気づいたようだ。
どういうことだとじっとシアを観察している。
再び伸びてきた手が、また股間に触れた。数度扱かれ内腿を擦り合わせる。気持ちいいけど「そこ」じゃない。
荒い息の合間に、ちらりとアサドを見た。
シアの熱の根源を探していたアサドも、偶然こっちを見ていた。
視線が絡んで数秒、じっとこちらを見つめながらもアサドが動く。そっと「そこ」に指が触った。
「あッ、ん……ッ」
途端に身体が跳ねた。
ずっと触れてほしかったのは「そこ」だと、言葉ではなく身体が答えた。
おずおずとアサドの指が穴の周囲を行き来する。
わずかな刺激で魚みたいに跳ねるのが気恥ずかしく、横向きになって片膝を抱え込んだ。
剥き出しになった穴が広がったときは……指が入ってきたときは、ちかちかと視界に星が飛ぶほど心地好かった。
ゆっくり奥まで差し込んで、またゆっくりと抜く。それを何度も繰り返す。何度も。
穴が指の太さに慣れたら、またそっと、今度は中の様子を探る。浅い位置、深い位置、ゆっくりと。
「あ、は……ぁ、はぅ」
善がり悶えるような快楽はない。それなのにただただ気持ちいい。
アサドの指の感触が堪らず、うっとりと思考が蕩けるのがわかる。
出し入れする動きに合わせて、勝手に身体が揺れる。
気づけばベッドに這うようにして、アサドに尻を突き出していた。
アサドの指はやさしい。ずっとそうしていて欲しいと望むくらい、気持ちいい。
快楽の涙で滲む視界、枕を抱いてアサドを見る。
と同時に、鼓動が跳ねた。息が止まった。
まどろむような快楽が吹っ飛び、自分でも驚くほどの勢いで身を起こした。
アサドは、這いつくばったシアの真後ろにいた。
突き出された尻を正面に捉え、時折尻に唇を寄せながらもずっと穴を慰めてくれていた。そんなアサドの、股間。
「え……?」
勃、
「……あ」
こちらの視線にアサドが気づいた。瞬間、気まずく目を逸らされた。
そんなに疑うなら、試しにすこし煽ってみるといい。
すぐに挑発に乗って、きっとあいつは朝まで君を抱くぞ……男の言葉がまたよみがえった。
そういえばあの狩人は、他にも重要なことをいっていた。
勢い余って君の寝床に忍ぼうとしたこともあるらしい。まさか。
「あの夜のも……お前なのか……」
問いかけに返事はなかった。
否定しないということは、肯定したということだ。
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