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第6話 彪

行為が終わった後の芹人は、別人なんじゃ無いかってくらいに寡黙で、優しい。 俺の体から自分の欲を掻き出して……その後、咽が嗄れてるだろうからと白湯を飲ませてくれる。じゃあなんで俺の体を貪るんだ、なんてことは尋ねられるわけも無いけれど……。 俺の体中に付けた所有痕を温めたスプーンなんかで消して、それでほんの小さな声で付けすぎたかなと毎回呟く。……そう思うんだったらこの虚しい行為の繰り返しは止めて欲しいんだけれども。 「ん、もう寝な」 そして、今日も芹人はそんな事を言いながら俺をベッドの中に押し込む。……自分の家の匂いとは違う、芹人の匂いが俺の鼻腔をつく。もう嗅ぎ慣れてしまった優しい匂いだ。 芹人は俺の頭を軽く撫でると服を枕元に置いて、それで何時も何処かに行ってしまう。 俺の獣としての本能的な感覚なのかも知れないけれど、そうだと信じたい感情なんだけれども、その後ろ姿を見る度に俺は……なんとなく、どことなく、何故か解らないけれども“寂しい”だなんて……“哀しい”だなんて思ってしまう。芹人の体温が体の中に仄かに残っているのが余計に空しくて……。 「いみが……わからない……」 俺の掠れた独り言は芹人には届かない。体は動かないのに頭だけはぐるぐると考えている。如何しようも無いのに、如何しようも無い関係なのに、ああ……解らない。俺はここまでされてるのに芹人のことが嫌いには為れない。 なんでだ? なんでだ? なんでだ? 俺は蹂躙されてる。 俺は陵辱されてる。 俺は侮辱されてる。 怒れよ俺、芹人をなんで嫌わないんだ。プライドは、誇りは……一体どこに行ってしまったんだ?

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