その日は、何もかも間が悪かった。 彪にちょっかいを掛けようとしたのに同僚がヘルプ求めてくるし、後輩はミスるから彪も駆り出されるし。このままじゃあの日の二の舞だと思って彪のことを注視してたのに、部長が俺の仕事増やすわ……。 勘弁してくれ、と叫びたかった。彪は未だ獣化のタイミングをコントロール出来てないんだ。なのに、なのにこんなの……間が悪すぎる。 「めがね～……終わったぁ？」 「終わらん……」 隙間を見つけて声を掛けて、彪の肩越しに画面を見てやれば仕事は増えていくばかりだし……。 「おい芹人！　データがバグったぞ！」 「はあ!?　お前何やってんだよ！」 ……彪だけに構う時間が作れなかった。……どうするべきだったんだ、俺は。