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第14話 彪
目が覚めたとき、俺の体はベッドの上にあった。
体は節々が痛むが、まあ清められてるからそこまで酷く痛んだり、動かせない訳でも無くて。
少し掛け布団に鼻を埋めてみれば、ああ、ここは芹人の家なんだなあと……本当は解りたくは無いしそれでも解っていたんだけれども……改めてそう思った。
「……やっぱり、俺は体目当てなんだよな」
呟く。ああ……悲しい。哀しいな。
何度目かも解らないそんな感情を抱いて、俺はそっと体を起こした。もういっその事死んでしまえば楽なんだろうな。俺はもしかしたらもう、意味が無いのかも知れないな。
あぁ、あぁあぁあぁあぁあぁ……俺がもし人間の女だったら、芹人は俺の体だけじゃ無くて俺自身を……好きになってくれたかな。
俺のことを大切にしてくれたかな。
俺を好いてくれたかな。
俺を……愛して、くれたかな。
「……せりと」
呼んで、みた。
聞いていなくても良いから、言いたかった。
「すきだよ……いちどだけでもいい、から……」
受け入れて、欲しいなあ……。
……。
…………。
………………。
扉の向こうで、誰かが息を吞むような音が聞こえた。
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