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5月2─1
「一緒に食べてもいいかな」
...俺達に話しかけてる?
「は?」
「ダメですか?先輩」
「....あっ!どうぞどうぞ!こんなところで宜しければ」
俺達だったぁぁぁぁ
慌てて詰め寄って一人分の場所を開けると、彼はそこにちょこんっと座って安心したように息を吐いた
「よかったぁ実は僕、友達いなくて、九重くんいつも一人で食べてるようだから一緒に食べない?っていつか誘ってみるつもりだったんだ」
「えっ俺?」
大毅君にもついにお友達がっ
「おいやめろその目、うるうるさせんな」
「だって」
「あははっ先輩と仲いいんだね」
「ふんっ」
「僕って見た目こうでしょ?だから昔から珍しいもの見たさで近づいてくる人が多くてさ...九重くんはあんまり僕に興味無さそうだったから、逆にそれが新鮮で...えへへ」
「はぁ...まぁ興味はない」
「うんっ」
えっいいのそれって
「あっそうだ、ちょっと聞いてもいいかな」
「はい、なんでもどうぞ」
「答えたくなかったらいいんだけどね、あの赤い糸の事なんだけど...」
聞くと、彼の目が大きく見開かれ
まるで花が咲き乱れるように彼の顔が真っ赤に染った
チカチカキラキラ
本当に宝石みたいな子だなこの子...
彼は両頬に手を当てて、少し深呼吸をしてから細々と話し始めた。
「先輩は...運命の赤い糸って信じますか...?」
「運命の赤い糸?」
って運命の人とは赤い糸で小指と小指が繋がってるって言うやつ?
「まぁ...あったら素敵だなとは思うよ」
俺と繋がってそうな人なんて、この世にいなさそうだけど
「ですよね...へへっ恥ずかしいな...あれは僕がこの世で1番好きな人から始めて貰ったものと演劇の小道具だったもので...中学の時も演劇部だったんですよ僕、それで演目に運命の赤い糸って話があって公演期間中僕とその人をずっと繋いでくれていたものなんです」
「へぇ...素敵だね」
「それを始めて貰ったそれに括りつけて...まぁ願掛けみたいなものです」
「へぇ、でも君結構ルックスいいしすぐにOK貰えそうだけど...告白はしないの?」
そう言うと彼の顔が少しだけ曇った
聞いちゃいけない事だったかな
「...男性なんですその人」
「........えっ?」
「ごめんなさい引きますよねこんなの...」
「あっいや...俺の友達にもそういう人いるし別に引きはしないけど、ちょっと驚いたというか...そうか...うん、納得というか」
「納得?」
「なんていうのかな...こう...独特な色気があるというか雰囲気があるというか...」
始めて会った時、直人と似たような雰囲気を感じて
もしかしたらそうなのかなとはちょっと思ってたんだよね
「色気?...まぁでもよかったです引かれなくて、貴方は僕の恩人だから」
「赤い糸の事?」
そう聞くと、赤塚くんは微笑んで頷き胸ポケットから例のシャー芯入れを出した
「これを持ってると、落ち着いて演技が出来るんです...まぁ一種の御守りみたいな物ですね」
「そっか」
「ねぇ、僕だけ全然わかんないんだけど」
「あっ紗夜」
そうだいたんだ、忘れてた。
「僕は、先輩の事知ってますよ。
水野 紗夜15歳でプロデビュー同じくプロのバイオリニストの母と行う定期演劇会は毎回チケットがSOUL'd OUT、最近バラエティにも出てますよね。そんな方と同じ学校に通えてとても嬉しいです」
なんだ...なんか雰囲気が
ちょっと怖い...?
「そこまで知ってもらえて嬉しいな」
なんか、紗夜もずっと機嫌悪いし...
ちらっと大毅君の方見ると、同じ事思っていたらしくシッシッとされてしまった。
うぅ...
「大毅ー!あっ!今日は王子もえっ...えー!?演劇部の子だよね?わぁっこないだとても素敵だったよ!チケットありがとうね絶対見に行く!」
「あっはい...あはは...」
救いの女神南條さんっ!!
ピリピリした雰囲気はどこへやらだよ
ありがとうぅ
「なんか、みなみさんに似てるよね彼女」
「やっぱり?」
なんかこーいう空気を一瞬でガラッと変えてしまうとことか、見てると周りが元気になれるとことか
やっぱそっくり
だからこそ少しだけ心配になるけれど。
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