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5月3...2
「.....」
「...」
「....」
「...紗夜紅茶飲む...?」
「...」
沈黙が辛い...そんなに怒らなくてもいいじゃない...そりゃちょっと今日はあんまり紗夜の話聞いてあげられなかったけどさ
「...あの子なんなの」
「あのこ?」
「今日一緒にお昼食べてた子」
「って春兎くん?」
「名前はどうでもいい、僕が知りたいのはなんで急にあやちゃんの周りに人が増えてるのかってこと」
「なんで...だろうね」
そう言われればそうだよね確かに...いつも一人でお昼食べてたのに、急に大毅くんが加わって紗夜が加わって、今日には春兎くんまで来て
ほんの数ヶ月前の俺に言っても信じないだろうな
「大毅くんはなんか懐かれちゃって、多分春兎くんも...でも2人ともいい子だよ大丈夫」
「そう言って小学生の頃「紗夜」...ごめん」
あれは...俺が顔を晒してたから悪いんだ
「あやちゃん、僕の事嫌いになった?」
「なってないよ大丈夫」
大丈夫...大丈夫...あの二人はあの子達とは違う。
次の日春兎くんと寛人君と紗夜と4人で登校した
いいな、こういうの賑やかで
「すみません先輩、こいつがどうしても一緒に行きたいって聞かなくて」
「大丈夫だよ、仲いいんだね2人とも」
「まぁ、中学から一緒なので!先輩と王子様ってどういう関係なんですか?」
「...幼なじみ、生まれた時から。」
紗夜は、やっぱり俺の周りに人が増えるのをあんまりよく思ってなくて
だけど俺が駄々をこねたらしぶしぶ了承してくれた。
紗夜もできる限りそばに居るって条件付きだけど
「うそ...王子の隣に貴公子...?」
「目の保養すぎなんだけど、えっ2人ってどういう関係???」
ココ最近ずっと校門入るとざわざわ噂話される気がする。
相変わらず俺は眼中に入ってないけど。
でも貴公子って誰だろう
「なんか俺ら女子達の眼中入ってないっすね」
「そう...だね」
俺はその方がありがたいけどね
注目の的になるのは、ちょっと嫌だし
「ね、貴公子って誰?」
「あぁ、春兎の事ですよ、あいつ入学前から結構演劇部に顔出てたので演劇部の先輩があいつを貴公子呼ばわりして、それが広がっていったって感じですかね」
「あぁ...」
確かに、王子様みたいって思ったもんな最初
「紗夜....」
「ちょっとあんた邪魔...うわっ何このもっさり頭」
まぁ好きでもっさりしてるので
なんとも言えない
「すみません...先に教室行っちゃおうか」
「そうですね...大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、慣れてるし」
昔からよく、紗夜のひっつき虫とか、紗夜の背後霊とか言われてきたし
さすがに紗夜が怒ったら、今度は影で言われるようになっちゃって、学校ではもう話しかけないってなっちゃったんだよね
最近また一緒に入れるようになったのにまたそうなるのは嫌だし
「紗夜、またお昼ね」
多分聞こえてないであろう紗夜の後ろ姿に小声でそう呟いてその場をあとにした
お昼休み、何故か誰も来なくて
10分くらい経ってから寛人君がひょこっと覗いてきた
「おいでおいでー」
「先輩1人ですか?」
「うん、なんかみんな来なくてね」
まぁ前までそうだったし、大丈夫かなって思ったけど
思ったより寂しくて寛人君が来てくれて、実は凄く安心していたり...
「先輩って王子様と付き合ってるの?」
「.....へ!?紗夜と!?!?!?ないないない紗夜と俺とじゃ釣り合わないし紗夜は俺なんか好きにならないよ恋愛的な意味ではね、もし仲良く見えているのならそれは幼なじみだからだよ。母さん達にもよくあなた達兄弟みたいねって言われてたし付き合うなんて絶対にないよ!紗夜は俺なんか選ばない...から...」
「...なーんかそれってさ、あやちゃん先輩は紗夜先輩が好きだけど、紗夜先輩は違うって言ってるようなもんじゃない?」
「ちっ違う!!俺は紗夜のこと好きだけど...好きだけどそういう意味じゃないんだ、俺は紗夜をそういう意味で好きになっちゃいけない」
「男同士だから?」
「違う!そんなのは関係ないよ、ただ俺が...俺が悪いんだ...俺が...」
「先輩?」
俺がこんなだから、紗夜はずっと俺のそばに居てくれて...好きで居てくれて...だけど紗夜にだっていつか好きな人が出来るだろうし...そうじゃなくても多分紗夜には婚約者がいる...と思う
紗夜は一言もそんな事言った事ないけど
華夜子さんが昔から言ってたんだ、紗夜には決まった人と結婚してもらうからって
「紗夜の家は由緒正しいお家でね紗夜のひいひいおばあちゃんの時代からずっと音楽に精通してて、本当に凄いんだよ、昔から舞のお稽古とか、ピアノ、バイオリン、お筝に三味線お歌...音楽に関する習い事を片っ端からやってて家族全員何かしらのプロで講師で...紗夜も将来は世界に通用するようなバイオリニストになるんだ。」
そんな将来有望な人の未来を潰しちゃいけない。
「...それってさ先輩はまるでどうでもいいみたいじゃない?」
「まぁ...実際そうだよ俺なんてなんの取り柄もないから、紗夜みたいに多才な訳でもないし、春兎くんや寛人君みたいに演技の才能がある訳でもない」
大学も、なんとなく行くだけで
特にやりたいことがあるわけじゃないし
母さんもやりたいようにやりなさいって言ってくれるしね
寛人君は、納得いかないようでしばらく唸ってたけどしぶしぶ納得してくれたみたいだ。
放課後、大毅君にお昼何かあったのか聞いてみたら
「別に、テストの点が悪かったから勉強させられてただけ...別に赤点取ったわけじゃないのに...」
「赤点じゃないって言ったってギリギリだったじゃないか!九重くんいっつもそうやってはぐらかして!今度の定期テスト赤点取ったらどうするの?」
「っだぁ!うるせぇなてめぇに関係ねぇだろうが!」
こっこの2人いつの間にこんな仲良くなったんだろ
「はるー!部活!」
「はーい!じゃあ先輩また明日!九重くんも!明日も勉強するからね!」
そっかテスト...だから紗夜も今日いなかったんだ
紗夜いつもテスト前は勉強してるもんね
...いけないな、最近人といることが多いからか誰かと一緒にいるのが当たり前になってきてる
なるべく1人でいなきゃ
なるべく
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