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5月4...2

side 春兎 怒鳴り散らした紗夜先輩に屋上から追い出されたその日の夜 寛人のに呼ばれて、近くの公園で 絢斗先輩の言う通り話し合いをした 左手にお守りを握って 「はい、暖かいお茶」 「ありがと...ごめん俺冷静じゃなかった」 「...うんあれはダメだよ」 殴られた絢斗先輩の肩に触れた時、カタカタと小刻みに震えていた 街頭の下、もうすぐ夏になるからか生温い風が頬を撫でる...と言ってもまだ5月中旬の深夜の公園は少し肌寒く身震いしてしまう程だ 「で?なんで僕と絢斗先輩が付き合ってるなんて思ったわけ?」 まくっていたシャツの袖を下ろし手首のボタンを締めながらベンチに腰かける 手が震えてなかなかボタンが留まらない 「だから言った通りだよ、人見知りのお前が急に仲良くなってさ...なんか入り込めない雰囲気作ってるしいつの間にか 一緒に帰るようになってるし...ないだろ今までそんな事」 「まぁ...でも先輩は僕の恩人だから」 それに、僕の秘密を知ってる唯一の人...では無いか九重くんと紗夜先輩も知ってるし 「何それ?助けて貰ったとか?」 「まぁそんな感じかな」 「...ねぇ寛人...俺もごめんねこないだ」 この間僕は寛人と大喧嘩をした 内容は...まぁ恥ずかしすぎるので省略で... (※書き手の限界) 「いや...」 そんな事よりも僕には気になる事がある 「ねぇ...今日絢斗先輩に言ってたなんの為にってどういう意味?」 先輩に殴りかかったのは、僕が先輩に泣かされていると思ったから何でしょ? 「それは...」 「ねぇ寛人、僕達言葉が足りないのかもしれないね...」 中学からずっと一緒にいて、休日も一緒 1度離れてしまったこともあったけど、それでもまたこうして一緒にいる 「お互いにお互いの事を分かった気でいるだけで、本当は何もわかっちゃいないのかも」 案外答えは最初から出ていたのかもしれない まだ分からないけれど 「間違っていたらごめん...寛人僕の事好き...なの?」 心臓がドキドキとうるさい まるで耳の裏に心臓があるみたいだ 今が夜でよかった、きっと僕すっごいみっともない顔してる 「....」 沈黙がいたたまれなくなって思わず寛人の手を握る だけどその手は優しく振り払われた あぁ...うん、いいやもう 言ってしまおう 「僕は、寛人の事好きだよ」 一生伝える事はないと思っていた 伝える気もなかった 相手からは答えが帰ってこない わかっていた 長い長い沈黙の後、ようやっと出てきた言葉は 僕が何千何回と想像したそれで 「...俺...は、そういうのはよく分からない...春は俺の中でずっと弟みたいな存在だったんだ」 うん...知ってる 「だけど最近ずっとおかしいんだ...春に女の子達が群がってたりしてるとなんかモヤッとするし...絢斗先輩と仲良くなった時も...春は俺のなのにって思った...だけどキスとかそういう...その先の事がしたいのかって聞かれたらそれはちょっと違う気がして...」 「っ...うん」 あぁ...絶対泣かないって決めたのに 「春の事好きだよ、大好き...だけど多分春と同じではない」 「そっか」 結局...どこかでわかってはいたんだ 寛人は僕を選ばないって だけど、もしかしたらって気持ちも捨てきれなくて 「ねぇ寛人、これ覚えてる?」 握りしめすぎて熱くなったお守りを寛人に渡した 「シャー芯入れ?と赤い糸...ごめん分からない」 そうだよね...僕に取っては大切な思い出でも 寛人にとってはただの日常の1部なんだ 「...それね僕の1番大切な物、無くしたと思ってたそれを絢斗先輩が届けてくれたんだ、それがあったから今までの演技全部上手くいったんだよ」 「そうか、凄い物なんだな」 「それ、寛人にあげる」 返すよ 「何言ってんだ、そんな大切なもの貰えるかよ」 「いいんだ、僕にはもう必要ないから」 ベンチから立ち上がり、街頭からはなれ 僕の顔が影で隠れるギリギリの位置 見えてないよね...? 顔はきっと涙でぐちゃぐちゃだろうから せめて声だけは 演劇部で培った演技力で 「鈴木 寛人先輩!」 精一杯の元気で 「貴方が好きでした!」 ちゃんと出来てるかな 声震えてないかな 「~っ...あな...たが...世界で1番好きです」 一瞬だけ触れた唇 これくらいは許して これで最後だから 「春っ...」 「また明日、寛人先輩」 家に帰って、今までの全部を吐き出すように 枕に顔を押し当てて、叫ぶように泣いた 次の日九重くんに凄い顔されたし クラスの子達に心配されたけど 僕は案外スッキリしていた 月末の演劇部の不定期公演は大成功で遂げられた そして、演劇部を辞めた

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