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6月...1

6月 まだ初夏だと言うのに、少し動くだけで額に汗が滲むほど暑い 制服は長袖から半袖へ もうすぐ球技大会があるからか、校内は少しだけお祭りモードだ 「仲田くんは何に出るの?球技大会」 「俺はまだ決めてない」 「決まったら教えてね!私応援しに行くから」 「ありがと、俺も南條さんとこ応援しに行くね、バレーだっけ?」 「うんっ」 ...あっでも行ったら大毅君と会っちゃうかな...会うくらいならいいよね大毅君達は何も悪くないんだし... 結局先週の演劇部の舞台見に行けなかったなぁ あれから紗夜には必要以上に彼らに近づくなと言われ より一層過保護になり、今までは学校で一切話しかけて来なかったのに登下校はもちろん昼休みも一緒に居るようになった...まぁそうじゃなくても最近は一緒だったけど 「陽ー!今日の昼休みバレーの練習しよ!当日までに最強の技編み出すよ!」 彼女...確か南 咲良(みなみ さくら)さんだ 女子バレー部主将で、確か去年は全国まで行ったんだっけ 彼女がいるなら心強いな 「...何、ニヤニヤしないで気持ち悪い」 「ごっごめん」 俺ニヤニヤしてた!?完全に無意識だった...こんな気持ち悪いやつがニヤニヤ女性見てたらそりゃ気持ち悪いよな...俺なんて卒業したら誰の記憶にも残らない、同窓会に行ったらあんなヤツいたっけ?って言われるやつナンバーワンだもんな... 「仲田くんまたグルグルネガティブに考え込んでるでしょ...咲良謝って!今のは言い過ぎだよ」 「あんたがこっちみてたのが悪い、あっ!夢ー!お昼食べに行こ!」 「うっうん」 そう言って彼女は教室から出ていってしまった 俺なんかしたかな...すっごい睨まれちゃった... 「あやちゃん」 「あっ紗夜、待ってて今行く」 「最近毎日だね、王子が教室まで迎えくるの。 クラス中で噂だよ、仲田くん何者って」 何者って言われても...普通の男子高校生としか... 「あやちゃんどうしたの?ぼーっとして、ハンバーグ落とすよ?」 「いや...やっぱ紗夜って人気者なんだなって」 「なにそれ」 屋上の扉の横にある梯子を昇って、アンテナみたいなのがある小さな屋上みたいな場所、ここが最近のお気に入り 高度が高くて遮蔽物が無いから涼しい風が吹いていて気持ちよくて好きだ ガチャ あっ誰か入ってきた 「あーっ!屋上気持ちー!」 「咲良ちゃん、まずいって屋上は進入禁止だよ」 南さんと鳴海さんだ...そういやさっき一緒にお昼食べるみたいな事言ってたし、確か幼なじみなんだよね 見た目は正反対の2人だけど、喧嘩してるの見た事ないし、鳴海さんが南さんの言いなりになってるみたいな話も聞いた事あるけど、そんなふうには見えないな 「だーいじょぶだって!バレなきゃ...ねぇそんなことよりさ」 「でっでも誰か来たらんぅ」 !?!? 「いいじゃん、最近色んなこと重なって夢と二人きりになれなかったからずっと寂しかったんだよ?」 「だからってこんなとこで」 仲良い仲良いとは思ってたけど、まさか付き合ってたとは... 「んっ...さく...ふぁ」 「ん...ゆめ可愛い...」 これは...まずいのでは...もし俺達がここにいることがバレたら怒った南さんに何言われるか...! 「ちょっと...何してんのあんた」 ばっバレちゃった 「へっ!?やっ仲田くん!?」 「あ...はは...ごめんなさい」 「で?なんでこんな所にいるわけ」 「俺達、いつもここでお昼食べててですね.......すみません」 圧がすごい...めっっちゃくちゃ御怒りになっていらっしゃる... 鳴海さんは、顔真っ赤にして南さんの後ろに隠れてるし 「お2人、付き合ってたんです...ね」 「何、悪い?」 「いやいやそんな!滅相もない、俺の友人にゲイの人がいてね苦労してるのを見てきたし...だからってわけじゃないけど偏見とかないよ」 昨日も寝る時間になって急に電話してきたし直人のやつ.... 「苦労知ってるから何?偏見がない?ゲイの友人が居る?そうやって自分は善良者ですよってアピールして、本当は気持ち悪いって思ってるんでしょ?あーやだやだ男ってどうしてこうなの」 「いや、俺そんなつもりは...」 「いいわよ弁明とか、もう話しかけないでよね」 「あっ...」 行っちゃった...俺偽善者に見えるのかな... 「嫌われてるねあやちゃん...まぁそれならそれでいいけど」 「はは...」 「あの...ごめんね仲田くんは悪くないのよ、咲良ね男の人が嫌いなの...だから男の人にはみんなあんな感じで...仲田くんがなにかした訳じゃないのよ」 「そうなんだ」 男の人が嫌いか... 「あの...仲田くんはどう思った...?私達が付き合ってるの」 「どうって?」 「気持ち悪い...とか」 「まさか!言ったよね俺の友達にもそういう子がいるって、偏見とかそういうの本当にないよ、人を好きになるのは自由だって、素晴らしい事だって母さんも言ってるし」 世の中には色んな人がいる、自分と同じ性別の人を好きになる人だっている 世間じゃそんな人を悪くいう人がいっぱいいるけれど 人が人を好きになるのは当たり前の事なんだから そういう人達を批判する権利なんて私達にはないのよって昔から母さんよく言ってたし 最近は 人を好きになれない人もいるけれど、それもその人の自由 好きになれないならならなければいい 必ずそうじゃなければ、いけない なんてないんだからって 最近、そういう人を演じたらしくて 泣きながらそう言ってた 多分あれは酔っ払ってたな 「...素敵なお母さんだね」 「うちの母は世界一なので!!」 「そっそうなんだ」 「あやちゃん」 ハァッッッ 俺...俺またやったのか... 「ごめんなさい...高三にもなってお母さん好きとか気持ち悪いよね...」 「へっ!?あっいやごめんね今のは私がいけなかったわ...私もお母さん大好きだし別に変な事では無いわよ」 「ありがとう...」 南條さんといい鳴海さんといい...いい人ばっかり... キーンコーンカーンコーン 「あっいけない、私次の授業の係だった」 「俺たちも戻ろ紗夜」 「ん」 その日の放課後...南さんに体育館裏に呼び出されました...

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