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6月...2

「夢に変な気起こしてないでしょうね」 指定された場所に着くなり、思いっきり壁ドンされ 股の間に足を入れられ逃げ場を無くされ... おっ...襲われる... 「おっ起こしてない!恋人がいる人に手を出すなんてそんな真似する訳ないだろ!」 「どうかしら...男って好きでもない人とセックスとか普通にするんでしょ?」 「セッッッッ!?!?!?俺はそんなふしだらじゃないよ!?」 「分からないじゃないそんなの...いいひとそうに見えて結局...」 ...? 「とにかく、もう夢には近づかないで」 一瞬だけ見えた表情がとても悲しそうで 南さんが男嫌いなのには、何か深い理由があるんじゃないかと思った 確か南さんちは片親...でもま、他人が入り込んでいい事情では無いんだろうな やめとこ、また怒られるだけだし。 それから数日がたったある日、クラスで南さんと鳴海さんが付き合っているという噂がたった その日南さんと鳴海さんは学校を休み、バレてしまったから2人で逃げたんじゃないかと噂はあらぬ方向へいき... 次の日 「何よ...これ」 黒板には、差別とも取れる用語や南さん鳴海さんの悪口がたくさん書かれていた こんなのドラマでしか見た事ないよ 「誰よ...こんなことしたヤツ出てきなさいよ」 鳴海さんは、泣きながら教室から出て行き 南さんの怒りは更に頂点に登った 「誰だっつってんだろ!」 「咲良!とりあえず黒板消そ」 南條さん... 「俺も手伝います」 「ありがと仲田くん」 そんな俺達をみて、南さんは一緒に黒板を消し始めた 後ろからは、クスクスと笑う声や誹謗中傷の声 チラッと南さんの方を見ると、唇を噛み締め涙を流していた 天真爛漫でいつも笑顔な印象で、たまに悪口を言われる事もあったけどそれでも、持ち前の明るさでカバーしてきた南さんが... 「咲良、もういいよ後は私達がやっとくから」 そういうと南さんは泣いてるのを隠すように、教室から出ていった 鳴海さんも大丈夫かな... 「あーあ出てっちゃった、彼女さんに慰めてもらいに行ったのかな」 不意に後ろから聞こえた声...その言葉にまた、後ろからクスクスと笑い声が聴こえる 「南條達もあんなやつ庇っちゃって何?私達はいい人ですよって?」 なんか、南さんにも言われたなそれ 「何言って...友達が傷つけられたら助けたいと思うじゃないねぇ?仲田くん」 「えっあっうん...俺は南さんの友達って訳じゃないけど、こういうのは嫌いだから」 「んな事言って南條、本当は南が好きなんじゃねぇの?仲田も」 クスクスと耳障りな笑い声、でも次に南條さんが放った言葉でそれは一瞬で消え去った 「何言ってんの?当たり前じゃない!大好きよ!咲良は最高の友達だもの!」 「...は?」 そう言うと彼はぽかんとした顔をしていて、俺達は顔を見合わせて笑った 「あははっ...うんそうだね俺も彼女好きだな、いつもまっすぐで恋人を何より大切にして、尊敬する」 そういうと、クスクスと笑っていた子達も恥ずかしくなったのか気まずそうに顔を逸らした それから南さん達にカバンを届ける為に校内を探し回り やっと見つけた頃にはもう1限が始まってしまった 「咲良ーカバン持ってきたよー」 「鳴海さんも大丈夫?一応お弁当は無事だと思うんだけど...」 結構な勢いでカバンほおり投がってたからな... 「わっ2人ともありがと咲良起きて、仲田くんと陽がカバン持って来てくれたよ」 「んー?わっありがと陽ごめんねもう1限始まってるよね」 ....あっそういや紗夜に会わなかったな 今日怒られちゃうかな... 「仲田も...ありがと」 「いーえどういたしましうわっ」 すっごい風...やっぱ屋上じゃ風邪強すぎるな...今度から風強い日は階段の踊り場で食べよ... 「わぁ...仲田くん綺麗な顔..,」 「へ?...っ!?」 やばっ今の風で前髪が上がっちゃったんだ 「あっなんで隠すの?仲田くんいっつもちゃんと顔見えないからどんな顔してるんだろうってずっと気になってたんだ、あっあの人に似てるんじゃない?女優の染谷ミナ」 「ここにいたんだ...もう1限始まっちゃってるよ?」 「紗夜...」 よかった助かった... 「王子様...やっぱり仲良いのね仲田くんと」 「だれ?」 「やだ咲良ったらココ最近毎日のように昼休みうちの教室来てるじゃない音楽特進クラスの水野君だよ、お母様がバイオリン奏者の」 「あぁ...あの」 「母をご存知で」 「えぇ、うちの母が好きでよくコンサートに行くんです」 そういや鳴海さん家ってお母さんが会社の社長をしてるんだっけ...たしかコンサート会場とかビルとか設計したりしてるんだったよね ほかの分野も色々やってるとか 普通科の中では、鳴海さんが1番世間に知られてる会社だよね...テレビCMとかもよく見るし 特に社長さんがうちの母を気に入ってるみたいで よくCMに起用してくれてるみたいだし 「母に話しておきますね」 あ...嬉しそうな顔 なんだかんだ紗夜、お母さん大好きだもんね 「よかったね、お母さん褒めてもらえて」 「うるさいな...それよりあやちゃんこの人たち誰」 「同じクラスの南 咲良さんと鳴海 夢さん」 「あぁ、鳴海さんってあの?」 普段テレビを見ない紗夜でも知ってるんだ...鳴海さん家って結構凄いんだな 「うちをご存知で?」 「えぇ、母がよく使うホールが貴方のお母様の設計されたホールで、なんの雑音もなく音が跳ね返ってくるらしくてどこいっても鳴海グループが設計したホールかどうか聞くくらい」 「まぁ...嬉しいですそう言っていただけて」 「お嬢さんも、歌がお上手だと聴いていますよ」 「私は...そんな大層なものじゃないんですよ、ただ趣味でやっているだけなので、プロの方に褒めていただけるほど上手くはないんです」 キーンコーンカーンコーン 「あっ終わったかな、どうする?俺は教室戻るけど」 「あっ私もカバン教室だから戻らなきゃ」 「私達は、みんな帰った後に帰るよ、ありがとう2人とも」 いつか鳴海さんの歌聴いてみたいな...文化祭とか...あっでも多分鳴海さん合唱部とか入ってないな 「あの2人従姉妹かなんか?」 「いや?聞いたことないけど、なんで?」 「いや、顔...というか声が似てる気がするんだ」 「すごーい、やっぱプロね耳がいいわ、おっしゃる通り従姉妹なのよあの2人誕生日も一緒のね、確か生まれた病院も一緒らしいわ」 「へぇ...」 じゃあ運命共同体みたいな感じなのかなあの2人 でも確かに、話してるとお互い足りないところを補い合ってる感じがする 2人でひとつみたいな 「咲良のお母さんは、夢のお母さんの秘書をしていてね確か咲良の方のお母さんがお姉さんだったかな」 「じゃあ鳴海さんのお母さん、妹で社長なんだ」 「実際は、2人が社長みたいなとこもあるけどね、コンサートホールとかイベント会場の設営は夢のお母さん、ビルとかその他の商業施設みたいな場所は咲良のお母さんって感じかな、今度都内に新しいビルが建つってニュースでやってるでしょ?あれは咲良のお母さん」 「あぁショッピングモールだっけ?」 「そうそう」 すごいんだなぁほんと うちの母さんも凄いけどさ

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