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7月...2
....なんでこうなるの...
「あんたが愛珠たぶらかしてるやつ?だよね何回か見てるし」
放課後
帰ろうと昇降口を出たら、この子が待ち伏せていて親指でクイッと体育館裏の方さされ、とりあえず大人しく着いてきたら案の定これだよ...なんなのみんな体育館裏大好きじゃん...昭和のヤンキー漫画かよ...
「別にたぶらかしてるわけじゃ...」
「じゃあ好き?」
すごい不安そうな顔...本当に彼女が好きなんだな
「いや、いい子だとは思うけど俺好きな子いるし...彼氏がいる子取るようなこと絶対しないよ」
「そっか...でも俺達別に付き合ってるわけじゃないし愛珠は多分あんたが好きだよ」
付き合ってない...?あれだけベタベタしてて?
「あんたの考えてること、言いたい事分かるよ...周りからも言われる」
「でも君は彼女が好きでしょう?」
「うん...でも愛珠は違う」
「どうして分かるの?」
君といる時と居ない時とで彼女の雰囲気全然違うのに
周りの人から見たらすごいわかりやすいと思うんだけどな...
「愛珠は男が苦手なんだ...唯一幼馴染の俺だけが愛珠の傍にいれた...だからすごいビックリしてるんだ俺以外の奴と愛珠が話してるなんて」
俺も、なんで仲良くなれたのか謎だな...
「あっいたぁ大河!かーえろあっ先輩こんにちは」
「こんにちは」
それにあんじゅって名前どっかで...
「またね~」
『またね、お兄ちゃん』
なんだ...今の
俺なんか忘れてんのかな...でもあんな小さい子と遊んだ記憶なんて...
「んー?」
「絢斗」
「あっ咲良ちゃん夢ちゃんも今帰り?」
「ううん、これから駅前にできた新しいカフェに行ってみようかって話しててさ、中世のヨーロッパをイメージした内装でハーブティーとか、農薬とか人工甘味料とか一切使わないスイーツとかあるんだって、店内も沢山お花があってね」
「へぇ、なんか夢ちゃんそーいうの好きそうだね」
「わかる?私自然大好きなの!将来は自分だけの植物館を作って四季折々の花達を同時に咲かせるのが私の夢」
「凄いね」
夢...夢かあ
俺は将来どんな職業についてるだろう...母さんと一緒に芸能界...はないよな俺に母さんみたいな華があるとは思えないし
無難にサラリーマンして年収600万くらいで休日は好きなことして過ごすんだ
結婚は...まぁ無理だよね
「水野くんは、将来どうなるんだろう...私達の中で唯一もう仕事してるもんね」
「紗夜はきっとこれから世界的に有名なアーティストになっていくよ」
そして隣には綺麗な奥さんと可愛い子供と...
「絢斗...?」
「あれ?...おかしいな」
何泣いてんの俺
それが普通じゃん、紗夜の子ならきっと才能溢れた子になる...音楽の家系を継いでいけるような
涙を見られたくなくて下を向く
ふわっと手が暖かくなった気がして顔を上げると
「夢ちゃん...」
夢ちゃんは、優しく俺の手を握ってニコッと笑い
近くの公園で少し落ち着こう?って
連れていってくれた
ベンチに座って咲良ちゃんが買ってきてくれたお茶を飲んだら少し心が落ち着いた
「私ね、もし咲良と付き合えなかったら将来どうなっていただろうって考えることあるの
咲良は美人だけと気が強いから尻に敷かれるような人が旦那さんかなぁとか、だけどちゃんと2人とも愛し合ってるんだろうなとか、子供は絶対咲良似の女の子!とかね」
懐かしいなぁって夢ちゃんはクスクス笑いながら話してくれた
「夢」
「まだ、両思いだってわからなかった頃の話だけどね...あの頃は毎日泣いてたなぁ、咲良に辛く当たったりこんな気持ちになるのがいけないんだって無理して咲良の親友としてそばにいようとしたり...でもねそのうちにもういいやって思える日がきたの、ダメで元々!告白して振られてもそれでいいやって、まぁ結果付き合えたんだけど」
そうだったんだ...俺はてっきりどちらともなく自然になのかと思ってた
「私は、夢に嫌われる事がこの世で1番怖い...だから両思いだってわかった日、とても嬉しかったけど同時にとても怖くもあった。この先続くいくつかの可能性を私が潰してしまうんじゃないかって」
咲良ちゃん...
「いまは?」
「幸せ...だからもしその時がきたら二人で話し合おうって決めてるの」
「そっか」
「絢斗くん...気持ちを伝える事をマイナスな事だなんて絶対思わないで、私達が傍にいるから!そう言って救ってくれたよね、私達の事」
本当に...なんでもっと早く歩み寄らなかったんだろう
なんでこんな素敵な人だって今まで気がつけなかったんだろう
「っ...いつから知ってたの?」
「最初は視線だった...絢斗くんの水野くんを見る目は、私が1番よく知ってる視線だったから」
「俺、そんなに見てたかなぁ」
あ、でも気がつけばずっと目で追ってた気がする
「後はもうほぼ勘なんだけどね...ごめんねずっと隠してたみたいなのに」
「ううん夢ちゃん達は何も悪くないよ...俺ね紗夜の笑顔が大好きなんだ、だから将来ねもし紗夜が結婚して子供が産まれた時、俺絶対その子のこと大好きになると思うんだで紗夜と奥さんと幸せに笑いあってるそんな幸せの中にはきっと...っ」
きっと俺は...そばにいられない
絶対邪魔になる
「この事出来れば紗夜には」
「もちろん、言わないよ」
「ありがとう」
それから2人とお別れして、紗夜にも今日は来ないでってメールして(その後めちゃくちゃ鬼電来たけど)
母さんとの約束もすっぽかして
沢山沢山泣きながら考えて考えて、結局紗夜を諦められないからもうこのまま隠しとうしていこうって決心が着いた頃にはもう明け方だった。
目の周りすごい腫れてる...ハチに刺されたみたいだ
鏡に映った自分は、どこからどう見ても男で
また、泣きそうになったけど
ぐっと堪えて無理やり口角を上げる
もう、諦めよう
何度も何度もそう思った
だけど
諦めなくていい
紗夜が将来誰を選んでも、ずっと紗夜を好きでいよう
重くたっていいさ
周りに引かれても
パチンッ
「よしっ」
「絢斗ー?いるのー?」
「はーい!」
「やだ何その顔」
「失恋した!」
「えぇ?」
気持ちは伝えてないけど
「ハハッ潔いいな絢斗」
「和毅さん、おはよう」
「おう」
朝ご飯のいい匂い
ぐぅ...
「朝ご飯食べましょ」
「いただきます」
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