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7月3...2
ここ...
定村さんに連れてこられた場所は、多分このあいだ咲良ちゃんと夢ちゃんが言ってた場所だ
凄いな...天井からたくさん植物がぶらさがってるし
これ...客席の仕切りもハーブが植わってる
「いい匂い...」
「だよね、ここ来ると落ち着くんだぁ」
「うん、確かに緑に囲まれてるって感じ」
「ご注文お決まりですか?」
「えーっと...」
店員さんの服も可愛いな...昔のヨーロッパみたいな感じだ
中世ヨーロッパって言ってたっけ確か
スカート長いのが主流だったんだろうか
内装も、所々アンティークだったりヴィンテージだったり
いいな...好きだな
植物のおかげで周りも見えないし気にせずゆっくり出来る
「ふふっ」
「...?なんか変だった?」
「いいえ、先輩こーいうの好きそうだなって思ってたから予感的中して嬉しいだけだよ」
「そっか?」
『えへへ』
似てる...最近よく思い出す女の子に
化粧してるし髪の長さとか雰囲気とか全然違うけど...笑顔がどこか面影が...あっ
「あん...ちゃん?」
そう言うと彼女は一瞬止まって、困ったように笑いながらやっと思い出したかとおでこにデコピンをくらってしまった
「同じ学校だったんだ」
そうだ思い出した...この子、子供の頃よく遊んでた公園で一緒に遊んでくれた子だ
「あやちゃん、いつ気づくかなーっていっつもドキドキだったよ」
「そっか...ごめんなかなか気づけなくて」
「しょうがないよ、あの頃と全然違うでしょ?私」
「あぁ...うん」
あの頃のあんちゃんはなんて言うか...その...
「あやちゃんより身長も体も大きくて、その上ピンクが好きでピンクの服ばっかり来てたから、あだ名はブタ子...遊べばその分食べてたからね...」
「食べるの大好きだったもんね、砂場とかでさよく作ってたのもハンバーグとかステーキとかおにぎりとか、あとよくポッケに飴玉とか小さいケーキみたいなやつが入っててあんちゃんから貰う飴玉が好きだったなぁ」
懐かしいなぁ...当時から一人でいることが多かったからあんちゃんと遊ぶ時間が何より楽しみな時間だった
「やめてぇ...本当黒歴史...」
「どうして?可愛かったよあの頃のあんちゃん、ほっぺたもちもちで、あっあといっぱいご飯食べる子って俺好きよ?」
「うぅ...」
「お待たせ致しました、ベリータルトとカモミールティー、オレンジティーでございます。」
うわぁぁぁ...すごいいい匂い
だしケーキも可愛い
「ここのタルト生地ねグルテンフリーなんだよ」
「ぐる...うん?」
ぐる...ぐるフリー...?混ぜてないってことかな
「ふはっ...ククッ小麦粉が入ってないってことよ。そば粉...でしたっけ?」
「はい、当店の製品はヴィーガンの方にも安心して食べていただくべく動物性食品のものは一切使用しておりません砂糖も普通の白砂糖では無くメープルやココナッツなどで甘味を引き出しております」
「へぇ...」
なんか...すごいオシャレってことだな
でも動物性食品を使用しておりませんって事は、動物性食品のアレルギーとかの人でも安心して食べれるって...あら?俺さっきのお姉さんが言ってたこと繰り返してるだけだわ
ま、とにかくオシャレって事だね
「あ、カモミールティー美味しい」
「はぁー!美味しかった!いいおやつになったわありがとねあやちゃん!」
「ううんこちらこそだよ、久しぶりに一緒にいれて嬉しかった」
あんちゃんや大河君が良ければまた、遊びに行きたいな
「....あっあんちゃん大河君に内緒で良かったの?」
「んー?...あぁ...うん別に付き合ってるわけじゃないしね」
「でもあんちゃん好きだよね?彼の事」
恐る恐る聞いてみると、彼女はまた困ったように笑いながら小さく頷いた
「大河には内緒ね、彼好きな人いるみたいだから」
顔を赤くして恥ずかしそうに笑う彼女の顔が夕日に照らされて、周りの人が振り返るほどに綺麗だった。
でも俺には、なんとなくその笑顔が悲しく見えた
両思いなのにな...
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