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She is Always a Woman②

翌朝、カホはめちゃくちゃ笑顔で俺を起こしにかかった。 勘弁してくれ。まだ6時だっつーの。 「ハジメちゃんいた!」 そう言って俺の背中にのしかかる。昨日挿入しなくてよかったマジで。 「ねえパパ、ハジメちゃんいた!」 足音がキッチンに向かっていった。 パンの焼ける匂いがする。ユウジはもう起きて朝飯を作っているらしい。 「ハジメちゃん起きてー起きてよー」 こっち戻ってくんな。あっちやこっちやチョロQかお前は。 「ハジメ、出来たぞ」 「後でいい・・・」 「バイトは?」 「休み」 じゃなきゃ昨日出かけていない。 まあ今日も行くんだけど。 「じゃあハジメちゃんお家にいるの?!」 カホがパン屑だらけの顔で目をキラキラさせる。 「カホが寝るまでな」 「何で?」 「ちょっとオトモダチと遊んでくる」 「カホも行く!」 ユウジがすげー顔でこっちを見た。 連れてくわけねえだろアホか。 ああそうだ、忘れてた。 俺は布団から起きて、カホの前に座った。 目線を合わせると、綺麗なもんだけ寄せ集めたような目で俺を見てくる。 「カホ、昨日は居なくなったりしてゴメンな」 カホはキョトンとした顔で、いいよ、と言った後、黙々とパンを齧り続けた。 それから段々と顔がくしゃくしゃになってきて、パンが口から溢れるのも構わず、うわぁんと泣き始めた。 俺はそれを見て初めて、ああ悪いことしたなと思った。 これからは気をつけるよ、お前はユウジにとって"たった1人の女"だからな。

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