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1人で生まれてきたのだから③

「コラ。駄目だよ」 杉山は慌てて離れ、ネクタイを直す。 「うっせえな。ごちゃごちゃ言ってねえで行くぞ」 「え、本当に行くの?」 「はあ?当たり前だろうが」 「こんなオジサンなのに?」 「関係ないね」 本当にいいの?と繰り返す杉山を、俺はもう無視してホテルに連れ込んだ。 杉山はラブホは初めてのようで、まるで美術館の中を巡るようにあちこち部屋の中を見て回っていた。 放置して風呂場に向かった。どうせ上か下か聞いたところでまたグチャグチャ言うに決まってる。 戻ってくると、コートを脱いだだけの杉山をベッドに引っ張り込んだ。 「本当にいいの?」 何回めだよそのセリフ。 キスで唇を塞いで、そのまま服を脱がせていく。 「待って」 杉山は俺を押しのける。 「自分で脱ぐよ」 ヤツは困ったように笑った。服を脱いだ杉山の身体は、腹が少しだけ出ているもののまだ引き締まっていた。ペニスも少し立ち上がり始めている。"Casanova in Hell"みたいにアソコが使い物にならなくなる事はなさそうだ。裸になると杉山は俺を強く抱きしめた。 「夢みたいだ。君みたいな若い子がここまでしてくれるなんて」 「あっそ」 よくもまあそんなセリフがポンポン出てくるもんだ。 杉山は愛おしそうに俺の頬に手を添えて、今度は向こうからキスしてきた。酒の甘い匂いと一緒に舌が入ってくる。 お、意外と上手いじゃん。頭がぼーっとしてきてフワフワする。しばらくこっちから手を出さずにソレを楽しんだ。 杉山は俺の顔やら首やらに手や唇で触れていく。 壊れ物を扱うってこんな感じなのかもな。 下手という訳じゃないけど、なんだか落ち着かない。まだ張りのある背中や脇に手を這わせると、時々欲望が噴き出すようにわなないた。 「どうしよう、止まらないかも」 内腿をなぞる手も、欲望を抑えつけた声も微かに震えている。オイ、脚開かせといて止まるな。 「挿れねえの?」 「本当に大丈夫?」 「まだそんな事言ってんのかよ」 それなりに気持ちよかったけど、なんかもう攻められるのにも飽きてきた。 杉山の上に跨る。戸惑うだけのヤツをよそに、ローションを自分の孔に塗り、ペニスにゴムを被せる。 そのまま杉山のペニスを握って、後ろの孔に入れていく。シャワーで温まって少し解れているとはいえ、やっぱ勢いでやるもんじゃない。クッソ痛い。 まずは入った分だけ少しずつ上下に動きながら馴らしていく。 「駄目だよ、無理しないで」 杉山は起きようとするが 「動くな。痛い」 と黙らせた。 ペニスが埋まっていくにつれ、杉山の顔が快感に歪んでいく。全部入ると、口に手を当て声も出ない様子だった。 そっからはもう自分の好きなように動いて、イイ所を杉山のペニスに擦り付ける。時々杉山からも声が上がった。 「鈴木くん」 杉山は俺の顔を見た。息が上がっている。 俺の動きを追っかけて、少し身体が浮き沈みしている。 「イク?別にいいけど」 杉山は俺の腰を掴み、自分のを何回も突き上げた。

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