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捨てられた

目を覚ますと部屋が真っ暗だった。 消毒液のにおいがした。 あぁ。 病院か。 確か熱あるから寝てろって言われてそのまま寝たんだっけ。 あんなにダルかったのに。 嘘みたいに体が軽くなっていた。 「あ。目覚ましました?」 「はい」 「点滴も終わりましたし……」 彼女は治療中はいいんだ。 でも……。 「じゃあ早く帰って下さいよ。あなたみたいな人に与えるベッドなんかないんですから」 治療が終わると出ていけと罵ってくる。 邪魔だと。 「莉音に特別扱いされてるからって調子に乗るのやめてくれない?」 「それはあなたの方よ!」 いつから聞いていたのか。 莉音先輩がやってきた。 「由貴くん。大丈夫よ」 「山下くん。キミは今日は帰りなさい。唯川くんすまないけど久賀さん呼んでくれないかな」 「わかりました」 「大丈夫かい?」 先生が目の前にきてそう聞いてきた。 「大丈っ」 大丈夫って言おうとしたら急に吐きそうになった。 「大丈夫だよ。吐いていいから」 「あなたそんなだから恋人に捨てられたのよ!」 「キミはそれでも看護師かい?患者にかけるべき言葉じゃないだろう?」 「由貴くん大丈夫だから、ね?」 「莉音先輩っ颯太に、逢いたい」 困らせるってわかっていたのに。 俺はそんなことを莉音先輩に言っていた。

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