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颯太との思い出
それからさらに1年後。
颯太は俺たちのもとに帰ってきた。
"遺体"として。
「由貴……」
「ごめん。一人にして」
何で颯太が死んだかわからない。
先週颯太の遺体が川に浮かんでいたって。
で、財布やら姿とかからおそらく。
腐敗してたから確かめようがなかった。
颯太。
最初会った時はチャラそうと思った。
髪は染めてるし、身長も無駄に高いし。
でも。
翼が俺と絡むようになって。
気が付かないうちに颯太を好きになって。
俺が高校の時に颯太からメールがきて。
『もし行きたい大学ないなら桜燐館学院大学においで』って。
俺は迷わず颯太のいる大学に進学した。
最初はみんなから色々言われたくないから他人のフリしてて。
そしたら、ある日突然。
颯太は髪をオレンジ色に染めていた。
染めたというか戻したというか……。
純平に勧められた出会い系に面白半分で登録して。
そこに颯太がいて。
颯太だと気づかないでメールして。
会う約束までして……。
そういや。
あのあと颯太に説教されたっけ。
『あのね、由貴くん?ネットで知り合った人とやたらと会おうとしちゃダメだからね?由貴くんは可愛いんだから喰われちゃうからね?いい?』って。
それからしばらくして。
颯太とゲームすることにしたんだっけ。
手段は選ばなくていいから、颯太が俺を好きになるようにしてみせろって。
それから颯太と遊ぶようになって。
颯太とシたんだっけ。
初めてってわかっていたからか。
颯太は優しかった。
それからも俺たちは体だけの関係になっていった。
颯太が大学4年の時。
付き合うようになった。
そして。
研修で3月に北海道に行った。
『由貴くん、大好き』
あぁ。
俺も好きだよ。
『可愛いなぁ』
『由貴くんの時間を俺にちょうだい?』
颯太にならいくらでもくれてやる。
だから。
颯太っ。
どれくらいそこにいたんだろうか?
気がつけば外は夕暮れになっていた。
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