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第4話 人並な願い
今まで会った人の中で1番綺麗で、1番かっこよくて、1番心が暖かくなった人
一応ここの在校生ではない事が分かっている
この1年間見たこともないのだからこの学校にはいないのだろう
あれだけ綺麗なんだから在校生だったら皆常に大騒ぎだ
写真を本当は持っていたいけど僕なんかがあの写真を持っていたらきっと毎日毎時毎分毎秒眺めてニヤニヤしてしまうだろう
だからその写真はあのソファの裏に元に戻したまま
見つけた時から今までずっと仕舞ったままだ
きっと見たら自分のにしたくなるから…
あぁ、でも明日回収しに行ってもいいだろうか
あの2人に見つかって捨てられたり破かれたりしたらどうしようかと不安になる
でも、もう行かないって言ってしまったし…
………諦めよう
僕なんかが持っていて良いものではない気がする
覚えておけばきっと大丈夫
忘れたりは絶対にできないよ、あんな綺麗な人
記憶に留めておく方が何倍も大切な物に思える
いつか、いつか会えたらいいなぁ
友達になりたい、友達というか話してみたい
本物を見てみたい
こんな願いを持つだけで僕は少しは皆の平凡な日常に近づいた気がする
無いものだらけの僕だけど願いくらいは人並みに持っている
願いだったら僕の手から溢れて零れて無くなっても叶わなかったことなのだからきっと悲しくならないだろう
きっとまた違う願いが見つかる
だって思うことは自由で何回だってできるし
それに願ってるだけなら口にしなければ誰も迷惑しないし
大丈夫
願いは願い、外に出さなければ僕の自由だ
考え事をしているうちに校舎の中を1周していた、この学校は空き教室が多いけど、やっぱり皆知っているのか使用している感じがある
校舎4階の1番端の教室
ここは埃だらけで、誰も使ってないみたいだ
ソファもある体育館裏のソファには負けるがここが今1番いい場所だろう…
ふと風が吹いて窓が開いていることに気づく
窓の外を見ると、木に囲まれているベンチがチラリと見えた
木が周りにある為いい感じの日陰
ゆったりできそうなベンチ
しかもここからチラリとしか見えないのだから他の教室からは見えない
いい場所を見つけた
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