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7『 春ってやつは』
上気した頬は朱に染まり、その瞳は涙に濡れている。
苦しそうに浅く呼吸を繰り返す。
恥ずかしそうに顔を上げ、そして縋るようにこう言うんだ。
「お願い…早く…」
「それを深く入れて…」
「楽にして」
「でも、怖いんだ」
大丈夫、全部分かってる。
躊躇う気持ちも分かってる。
だから、オレは――
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アイツの鼻に噴霧器を一気に押し込み圧をかけた。
薬剤が粘膜に染み渡り楽になるまでもう少し。
春ってやつは!!
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