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16『今年の春から側にいる』
俺と彼は同じ年を重ねていた。
春になると、彼はいつも眩しそうに目を細めて、俺を見ていた。
そんな彼の表情は、とても美しく、そして儚げで好きだ。
「オレとお前は同じ年なのに、お前だけ綺麗だ」
彼は毎年同じ事を言う。
でも俺は彼こそが綺麗だと感じる。
俺の生き様は、回りのもの達から命を吸い取るだけだ。
それこそ一生懸命に仕事をする彼が素晴らしいと心の底から思う。
「オレさ、もう行くとこないから。オレお前の力になりたいと思うんだ。……側
にいてもいいか?」
君が好きだから、俺と生きてください。
俺は『桜』。
彼の姿はこの地上にはいなくなったけど、土の中で俺の側にいてくれる。
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