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15『春……さくらもち』

「俺のーッ」 モグモグされてる~ 大好きな…… 「俺の桜餅ぃぃー」 うわぁぁあアーんッ!! 「これでがまんな」 チュっ 唇の上に重なった淡い花びら色の唇は、甘いあんこの味がした。 なんで? おにいちゃん 白い飛行機雲がにじんだ空 桃色の花が蒼穹に舞って、梢に緑色の葉っぱがいっぱい咲いた頃 おにいちゃんは、いなくなった。 なにも言わずにお引っ越しした。 ……「あの時はいっぱい泣いたんだ」 「うん」 「突然いなくなって」 「うん」 「どうして?」 「すぐに会えると思ったから」 別れは告げなかった。 「お前は必ず夢を叶えると信じていた」 幼馴染みのあなたは操縦士。 俺はあなたの隣に座る副操縦士だ。 あの頃はまだ分からなかった。 でも今なら…… チュっ あなたの桜色の唇に、唇を重ねた。 「お返しだ……」 悪戯な唇が埋められた場所。赤い花びらが散る。 Operation normal.(オペレーション ノーマル) I have a control.(アイ ハヴ ア コントロール) 駆けろ、銀翼 蒼き海へ、高く V1 Vr V2 閃く影が重力の枷を抜ける。 「桃色に染まる大地を二人で見よう」

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