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第3話・堀川

  「なに? 俺の口になんかついてる?」 「あ? あー。そろそろクリスマスだなって。その唐揚げでチキン思い出してた」 「なにぼーっとしちゃって。え、実はフラれて傷心中なんでちゅかー?」 「うっせ。別に、本気じゃなかったし。言われたから付き合っただけだし」 「モテる男のヨユーの発言いただきましたぁ」 「うっせ。堀川は何すんの。クリスマス」 「俺? 今年は家族みんないないからなぁ」 「ふーん」 「今年のクリスマス、平日だろ?」 「だな」 「親父は出張中だし、母ちゃんは夜勤だし、兄貴は彼女とお泊まりデートとか言ってやがったな」 「マジか社会人」 「三上は?」 「俺?」 「三上もぼっちクリスマスなら、俺んとこ来ちゃう?」 「は……?」 「そんなポカンとされると傷つくわー。二十四日、終業式で昼に学校終わるし、せっかく傷心中の三上くんの慰め会やってやろうと思ったんだけどなー。いいですー、ゴリラの僕は寂しく一人でケーキ食いますー」 「ちがうちがうちがう! そうじゃなくって、マジ? いいの? ほんとに!?」 「お、おう……」 「マジ?」 「マジ」 「唐揚げは?」 「え、ケ○タじゃなくて?」 「あ、いや、さっきの美味かったから……」 「お、おう、そっか。じゃあ、唐揚げ作ってやるよ。すっげー美味いヤツ。揚げたてのが美味しいし」 「マジか! じゃあ材料費は俺が出すよ。ケーキ代も。てか、買い物とか一緒に行った方がいいよな」 「なんで!?」 「荷物持ち必要だろ? それにケーキの好みあんじゃん。一緒に選ぼうぜ」 「あ、そっか。そーだな。じゃ、学校終わったら、一緒に行くか」 「うん! そーだ、親に連絡しとこ」  びっくりした……。まさか、こんなにすんなりクリスマスの約束ができるなんて。  三上は嬉しそうな顔をして、スマホでメッセージを打ち始めた。クリスマスは来週だってのに。家帰ってから親に言えばいいのに。  そんなに楽しみなの? 俺、期待しちゃうよ?  しかも、うん、ってなんだよ。可愛いなおい。いつもの口悪い三上はどこ行ったんだよ。胸がキュンキュンしっぱなしだろうが!  実はさっき、納豆巻きを食べてる姿に勃起して、トイレで抜いてきたっていうのに、また勃ちそうになってしまった。危ない危ない。  つうか、俺の前で棒状のものを食べないでほしい。フェラを連想してムラムラする。あの口角の上がった薄い唇に、亀頭をハムハムされたい。意外と厚みのある赤い舌にペロペロされたい。上目遣いで「堀川のチンポ、おいひぃ」とか言われたみたい。「おいしい」じゃなくて、「おいひぃ」ね。  しかも納豆の伸びる糸。卑猥すぎんだろ。それに、ズボンのシミ! よりにもよってチンポのとことか、想像が捗りすぎて、今夜は五回くらいシコりそうだ。  今日の俺、最高についてるかもしれない。あとはクリスマスまでに三上に彼女ができないことを祈るだけだ。  神様、どうかどうか、お願いします……!

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