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第8話・三上

  「じゃあこれパジャマな」 「おう悪いな」 「パンツ……新しいのあったっけな」 「なんでもいいって。捨てるヤツとかないの」 「いや、多分、この辺に……」 「あった?」 「ねえな。あ、兄貴が持ってっかも」 「え!? いいっていいって!」 「部屋となりだし」 「いやいや、お兄さんに悪いだろ」 「コンビニ――は遠いしなぁ」 「だから、お前が使ってるやつでいいって」 「えーでも、他人のパンツとかヤじゃね?」 「俺、別に気になんねーけど?」 「そう?」 「あ。お前が気持ち悪いのか。悪い。今日のそのまま履くからいいよ」 「それは俺がヤダ」 「そ。あ、そのヨレヨレの童貞トランクスでいーよ」 「テッテレー! どうてーパンツー!」 「待った、臭くね?」 「洗ってしまってるから平気だっての!」 「んー、本当かー? ガハッゲホッ!」 「ヒデェ! 返せ! お前なんかノーパンで過ごして風邪引いちまえっ!」 「ははっ、冗談だってば。つか、本当に俺が先行っていいの?」 「ああ。お客さんだし」 「さっきの漫画の続き読みたいし、お前の後でいいけど」 「入った後に風呂掃除するし、いいって。遠慮すんなよ」 「そ? じゃ、先に風呂入るな。サンキュー」 「おー。ごゆっくり」  あああー!!!  神様ありがとう!!!  洗面所で声を出さずに叫んだ。何度もガッツポーズして、両手を組んで目を瞑り天を仰ぐ。  神様、どなたか存じませんが、マジでありがとうございます!!  なにこれ、明日俺死ぬの?  世界が終わる前のボーナス?  まさかの大雪で帰れなくなって、クリスマスのお家デートはまさかのお泊まりデートになって。  いや、デートじゃねーけど。もう実質デートだろ。  ふざけてお腹触り合ったりとか、口についたポテサラ取るのに唇も触っちゃったりしたし。  それに、クリスマスケーキをあーんして食べさせ合うってのは、恋人同士にしか許されない行為だろ。  あの時の堀川のぽかんとした顔を見て、マジでやっちまったって焦ったけど、ノってきてくれて良かった。ああいう優しいとこが好きなんだよなぁ。  つうか、「普通に食べるか」って言われて、素で勘違いして「普通にあーんして食べさせ合おうか」って意味に捉えた俺、グッジョブ。……恥ずかしくて顔から火が出るかと思ったけど。  しかも。ベッドに押し倒されちゃったんですけど……!  一瞬、キスされるのかもって思った。いや、あるわけねーんだけど。  まあなんでもいい。  ふへへ、と変な笑いが勝手に口から漏れた。  今の俺の腕の中には、堀川のパンツとTシャツとジャージがある。  もう一度言おう。  堀川の!  パンツを!  ゲットした!  あああーこの使い込まれて、プリントが薄くなった紺色チェック柄のトランクス。ちょっとゴムが伸びてるところも愛しい。  洗ってるとは言ってたけど、ほんのり堀川の雄の匂いが残ってんのがね、もうね……。あー、何度匂い嗅いでも興奮する。真空パックして保管しておきたい。で、週一くらいで匂い嗅いでシコりたい。最高。ふへへ、涎出そう。  しれっと貰って帰っていいよな。そうしよう。  で、新しいのを買って渡そう。もちろんお揃いで二枚買って、一枚は俺のおかず用にする、と。  新品パンツ、堀川が持ってなくてマジでよかった。  つうか、小中学校と仲良い男友達いなかったから、実は親戚以外の家に泊まるのは初めてだ。  パンツのくだりとか、本当はどうするのが正しかったんだろう。  俺は堀川のパンツ履けるなら一万円でも払うし、土下座でも何でもするけど、普通は嫌なものなんだろうか。堀川は他人のパンツ履くの嫌だって言ってたし。  お父さんの……履ける。  おじいちゃんの……は、ちょっと嫌だ。  クラスのヤツの……うーん、別に気になんないかな。  これってやっぱ、俺がゲイだからか。  まさか、堀川に変に思われてないよな、平気だよな?  本当は、堀川に先に入って貰って、お湯を飲んだり……はさすがにないけど、堀川のあらゆるところに触れた湯に入ってみたかった。  本音を言えば、一緒に入ってみたいけど。まあ、いくら悪友だとしても、男同士じゃナイよな。  うちの学校、プールもなければ、この間の修学旅行もホテルに大浴場なくて一人ずつ順番に部屋風呂入ったし。  あー、堀川の全裸見てぇ。  だから、来年の卒業旅行で温泉に誘おうとは思ってる。  とりあえず風呂入って、このガン勃ちしてるチンポをどうにかしよう。  ドアに鍵を掛けようとしたが、上手く掛からない。堀川の家、ちょっと古いからガタが来てるのかもしれない。  まあいいか、と全裸になった。見られて困るわけじゃないし、むしろ、ラッキースケベよカモンって感じだしな。下着はこの日のために新調したグレーのボクサーで、シミができていた。脱ぐと我慢汁が、ぬち、と音を立て糸を引く。  ヤベ、これは見られたら恥ずかしい、ていうかドン引きされるな。  服の下に隠して、浴室に入った。手に、ワセリンの容器を持って。  そう。さっきトイレ行って、ウォシュレットで中も綺麗にしてある。  もしかしたら、ワンチャンあるかも、と期待して持ってきていた。  毎回堀川の家に来るたびに、こっそりシャンプーやボディーソープはチェックしていて、一緒のを使ってるから匂いではそこまで興奮しない。  でも、いつも堀川が入っている湯船に、湯気の出る湯がたっぷりと張られているのを見ると、たまらなく興奮した。  チンポからはたらたらとカウパーが垂れて、浴室の床を汚す。いいなこれ、めっちゃ興奮する。  ざっと手早く身体を洗ってシャンプーして流し、床に膝をついて腰を下ろした。  ワセリンをたっぷり指に取り、尻を浮かせて穴へとあてがう。  毎日のようにアナニーしている俺のそこは、指一本簡単に飲み込んだ。まあ、今日も早朝起きて、柔らかくしてたんだけど。   ワセリンを塗りたくって、二本目、三本目、と入れ、穴を拡げていく。見たことないけど、堀川のチンポはデカイだろう。それが入るように、しつこく丁寧に解す。  後ろに手を入れたまま、自分の前を握って擦れば、あっという間に果てた。きゅうっと指を締め付ける感覚に満足し、出した精液とワセリンでベタベタの手や尻を洗い流してから湯船に浸かった。  あー気持ちいい、最高。  片想い中の相手の家でオナってしまった。罪悪感はあるけど、背徳感も相まってスゲェ気持ちよかった。  あとはこれで、堀川が俺を掘ってくれれば最高なんだけどな。  まあ、ねーよな。  芯まで温まって風呂から上がった。つか、堀川の家の風呂の温度、うちより高い。暑い。  しばらく全裸で身体を冷ましていたら。  背後でドアが開く音がした。

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