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第17話・堀川

   三上とのセックスは、最高に幸せで気持ちよかった。  まさかのワンチャンが訪れ、いや、ワンチャンどころじゃなく、正常位で一回イった後、何度も抱いてしまった。チンポがもげるかと思った。  しかも全部生で中出し。三上のカワイイ穴から垂れてくる俺のザーメンを見て興奮してまたヤるっていうリピートが止まらなかった。三上に負担かけて悪いって思いながらも、一晩中、止められなかった。  指を挿れて前立腺をちょっと擦っただけでトコロテンしたり、あいつのケツが柔らかく解れてて、人より多少デカいと思われる俺のチンポがすんなり入ったりと、いろいろ問い詰めたいこともあったが、疲れ果てた俺たちはシャワーを浴びてすぐに寝てしまった。  次の日、昼過ぎに目覚めた俺たちは、狭いベッドの中で抱き合って寝ていた。夢かって一瞬思ったけれど、三上の首筋や鎖骨に引くくらいのキスマークがついているのを見て、夢じゃないんだって確信した。  三上は、やっちまったな、って爽やかに笑って訊いてきた。 「どうだった初エッチ」 「気持ちよかった。最高。病みつきになりそう」 「へへ、そっか」 「三上は? 気持ちよかった?」 「……うん。ケツに違和感あるけど」 「マジ? 痛い?」 「いや、全然ヘーキ! ……つか、俺も気持ちよかったし」 「そっか。じゃ、今度はいつにする?」 「あ、え、っと……今からでも、いいけど」 「身体、平気?」  三上はほんのりと顔を赤らめて、腰を俺の太ももに押し付けてきた。ゴリ、と硬くなったチンポの感触に、俺の股間も一気に盛り上がる。三上の手を掴んで俺の股間に引き寄せれば、寝起きでも綺麗な三上の顔が赤みを増した。 「俺も」 「うん」 「昨日あんなに出したのに」 「な」  二人してくすくす笑い合い、それから俺たちはもう一度身体を繋げた。  あの日以降、俺たちは『練習』と称して幾度もセックスした。  学校は冬休みに入っていたから、主に日中、俺の家族のいない隙にめちゃくちゃヤりまくった。  正月には青姦の練習したいって言って、夜中、一緒に初詣に行ったあと、神社の裏山でヤった。クリスマスに降った雪がまだ残ってて、その上に射精して飛距離を競うっていう馬鹿な遊びもした。  三上の家にも一度だけ行ってヤった。三上の家に行ったのは初めてで、スッゲエ興奮して抜かずに三発ヤったら、大量のザーメンがケツ穴から出てきて、それに興奮して更に二発ヤってしまった。あれは最高だった。  セックスの前後はカラオケ行ったり、街をぶらついたり、映画観に行ったり、スケートやったり。  もうこれ、完全に付き合ってるだろ、俺たち。  その辺のカップルとなにが違う?  そんなエッチ三昧の冬休みが終わり、今日は始業式。  校長の長い話を聞いて、担任のそこそこ長い話を聞いて、テストの日程だとか、三学期の予定だとかを確認して学校は午前中で終了。  午後はまた三上を家に呼んでヤる予定だ。ウキウキしながらトイレへ行って教室に戻るところで、廊下にいる三上に気が付いた。  三上は男と一緒で、その男は馴れ馴れしく三上の肩に腕を回し、耳元に口を寄せていた。  誰だ、あれは。  ――三組の真山だ。  男とヤって気持ちよかったからって三上のケツを貸せって言った奴。  顔は中の上くらいなのに、チャラくて調子がいいからモテる、学年一の下半身ユル男。そして自他ともに認めるバカ。  まさか、また三上に掘らせろって声かけてんじゃないだろうな?  嫌な考えに急かされるように、二人の元に小走りで向かった。 「なー、いーじゃん。ね? 三上ぃ」 「何の話してんの」 「あ、よく三上と一緒にいるゴリラくんじゃん」 「……なんの話、してんだよ」 「あー? 三上にちょっとお願いゴトしてんの」 「なんだよお願いって」  俺の質問を無視した真山は、三上の肩を強く抱き寄せて廊下の窓側に寄った。  三上は俺のなのに。そんなに気安く触ってんじゃねーよ。  ――いや、実際には俺のじゃないけど。  けれど、三上にベタベタ触る真山にムカついて仕方がなかった。そんな真山に、三上が塩対応してるのがまだ救いだった。 「な? 三上、一回でいーからさ。ね、頼むよ~」 「ヤダって言ってんだろ。ずっと断ってんじゃん」 「そんな冷たいこと言わないでさぁ。ね? 三上に損させないから」 「だからさぁ……」 「今、彼女いないんだろ? だったらいーじゃん。な?」 「嫌だっつってんじゃん、しつこいな」  腕を振りほどこうとする三上だったが、俺ほどではないけれど真山の方がガタイがよく、すぐに腕に捕らわれてしまう。本当にムカつく。嫌がってんじゃん、三上。何なんだよ、コイツは。 「なあ。なに頼んでんのか知んねーけど、三上、嫌がってんじゃん。諦めろよ」 「はあ? ちょっとゴリラくんには関係ないから、あっち行ってて」  しっし、と野良猫を追い払うような仕草をされて、俺の中で何かが切れた。 「関係あるし!」 「なんでだよ」 「俺と三上、付き合ってっからだよ!」  しまった。つい口が滑った。  三上はぽかんとして俺を見ていた。一方の真山は特に驚いた様子はなく、軽い調子で話を続けてきた。 「え? あ、そーなん?」 「お、おお……」 「じゃ、次の週末でもいーからさ」 「……は? なんでそうなるわけ?」 「あれ、次の週も予定アリ? じゃ、その次は?」 「ふざけんなよ、真山」 「えー、次も無理? じゃ、空いてる日、いつでもいーからさ」 「空いてる日なんかねーし」 「えー? なに二人。そんなに遊ぶ予定詰めてんの? 一日だけどうにかならねー?」 「マジでふざけんなよ」 「わかったわかった! じゃあ、仕方ないなぁ。K女とのコンパ、ゴリラくんも参加させてあげるからさ。それならいいでしょ? 一緒に三上説得してよ~。どっちがどっちの予定に付き合ってんのか知らないけど、一日だけ俺のコンパにも付き合ってよ〜」 「はぁ?」 「向こうに一人増えてもいいか訊いてみるし。ゴリラくんも可愛い彼女欲しいでしょ?」 「……あ? 何言ってんの?」 「だからぁ、K女の子と今度コンパすんだけど、三上連れて来てほしいって頼まれてんの。三上連れてけば、俺のお目当ての子、呼んでくれるっつーからさ。あ、参加する子の写真見る?」  ポケットからスマホを取り出してタップしている真山に、それまで放心していた三上がようやく我に返って口を開いた。 「あー、真山。マジで悪いんだけど、俺、冬休みの間に彼女できたんだ」 「え!? マジで!?」  え。マジで。  ひゅっと息をのんだ。いつの間にできたんだよ。  冬休み、ずっと俺と遊んでたのに。毎日のようにセックスしてたのに。  なんで言ってくれなかったんだよ……。  思わず責める目を向ける俺に、三上は薄い唇の両端を吊り上げて微笑んだ。 「マジ。だからコンパ行けない」 「えー、マジかよぉ。今度は誰? この学校の女子?」 「いや、違う。四十二歳で周りから美魔女って呼ばれてる人」 「マジー!? めっちゃ年上じゃん! なになに!? 不倫!?」 「まさか。独身」 「四十二の独身の美魔女とか、めっちゃエロイな!」 「ああ、めっちゃエロイ」 「くあー! いーなー! もうヤった?」 「ヤりまくってる。今日もこれから家に行く予定」 「うっわ、マジか。つか平日なのに? なんの仕事してんの?」 「内緒」 「まさかの女社長とか!? くっそーイケメンめ、羨ましいな!」 「はは」 「やっぱスゲェ? 年上のエッチって」 「スゲーよ、搾り取られる」 「うっわ、マジか。そんなこと言ってみてー」 「手料理も美味いし、最高。唐揚げなんかプロの味だし、泊まった翌日には残り物で悪いけどっつって、ささっと朝ご飯作ってくれるし」 「あーマジかよぉ……年上もいーなー」 「だからさ、コンパ行かねーから。俺、その人に捨てられるまで、ずっと付き合うつもりだから」 「あーそっかぁ……、今回はマジな相手なんだ。なら仕方ねーよな。無理言って悪かったな」  真山はごめんな、と三上の肩を叩いて去って行った。三上はその後ろ姿をニコニコと笑って見送った。 「ははっ。あー、真山がバカでよかった」 「あの、さ、三上……」 「ん?」 「さっきの話……」 「今日も家、行っていいんだろ?」 「あ、ああ」 「話の続きは、家着いてからにしよーぜ。な、ゴリ美ちゃん?」

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