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 誰の許しも得ずに、扉を開けた。  温かな室内の空気が、全身に駆け巡るようだ。 「助かった……」  凌介は、その場でついに膝を折ってしまった。  そんな凌介に声をかけ、手を差し伸べてくれる存在がいる。 「大丈夫ですか? 立てますか?」  腕を取り、助け起こそうとしてくれる姿は、まだ成人前の少年だった。 「すまない」  大人としての見栄が瞬時に沸き上がり、凌介は何とか立ち上がった。 「無理しないで。荷物、持ちますよ」 「ありがとう」  少年は、実にてきぱきと動いてくれた。 「服がびしょぬれですね。全部脱いでください。はい、毛布」 「お腹はすいていませんか? 僕のチョコレートなら少しあるんですけど」 「今、ストーブでお湯を沸かしてたんです。コーヒー、淹れましょうか?」  濡れた服を脱いで毛布にくるまり、チョコをかじりながらコーヒーをすする頃になると、ようやく凌介は自分を救ってくれた少年をまじまじと観察するゆとりができた。

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