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「晶、俺は少し眠るけど、大丈夫かな?」 「僕がその間起きてますから。交代で眠りましょう」 「ありがとう、じゃあ遠慮なく」  晶を横に、凌介は瞼を閉じた。    夢の中にも、晶が出てきた。  聡明で、純情な晶。美しい肢体。  こちらを見て、微笑んでいる。  ふと、辺りが暗くなってきた。  晶が、背中を見せた。  行ってしまう。  晶が、行ってしまう。  一度だけ振り向いたその顔は、ずいぶんと寂しげだ。 「どこへ行くんだ、晶」  凌介は、大きく腕を伸ばした。

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