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So What③
後ろから膝を抱えるサクラにのしかかる。
茶色い髪を掻き分けて、うなじに唇を押し当てるとびくりとした。
首にもキスをして、合わせの間から手を入れる。
「やっぱアンタ結構遊んでるのね」
うるせえな、悪いかよ。
胸の先を指の腹で転がすと、膝を抱える腕を引き締めた。
「くすぐったい。下触って」
「じゃあ手どけて」
サクラは手を後ろについて少し足を開く。
俺は背中に張り付いたままその間に手を伸ばして握ると、ゆっくり扱き始める。
やっぱりやりにくいな。前に回るか。
「そのままでいて。ギュッとしてて」
「やりにくいんだけど」
「いいから」
硬くなり始めたから手の動きを速くする。
サクラの息が深くなってきた。
でも腕が疲れる。早めにイかせとくか。腕がつりそうになるのを堪えて動かし続けても中々いく気配がない。休憩しよ。
手を放してもサクラは文句を言わず、息をふーっと吐いただけだった。前に行こうとすると
「そのまま」
と言われた。
「手が疲れるんだけど」
「じゃあ挿れてもいいわよ」
「慣らすから寝て」
「自分でやってきたからいい」
「ふぅん。ちょっと待ってて」
ゴムをつけて、ローションをペニスと孔に塗る。
「バックでいいの?」
サクラは頷くと四つん這いになった。腰を掴んで挿れていくと
「手、握って」
と途切れ途切れに言った。
全部入ってから覆いかぶさって上から手を重ねた。それから腰を動かすのは骨が折れた。思うようにイイ所に当たらない。
サクラは歯をくいしばっているのか、短く息をする音しか聞こえない。
イイ所に掠めはするものの、カチッと嵌らずもどかしい感じだ。それでも動き続けていると、腹の底からぐわっとナニカが突き上げる。あ、ヤバイ。イキそう。
「ごめん、イク」
衝動のまま腰を打ち付けた。
サクラの手が潰れるんじゃないかってくらい力が入る。手を離してサクラのを握って擦った。掠れた声が時々聞こえた。
まずいと思いながらも頭が真っ白になって、それと同じ色をした液体が吐き出される。サクラがイク前に中で全部出しちまった。
どっと眠気が押し寄せる。
まずい。落ちる。
急いで自分のを引き抜いて、ティッシュで拭いて、ごめん、と言った後の記憶がない。
「アンタってホントに最低」
目を覚ますと、服を着たサクラがジト目で俺を見ていた。もうホテルを出る時間になっている。ホント飲むんじゃなかった。
「・・・悪かったよ」
素っ裸のままだったけど、布団がかけられていた。
「あー・・・ありがとな」
頭がだんだんスッキリしてきた。服はどこだっけ。
あ、ベッドの下に落ちてた。
シャツを着ていると、サクラは背を向けてベッドに座った。
「私イッてないんだけど」
「ごめん」
まだ言うか。いい加減鬱陶しい。
でもこのタイプは言い返すと面倒な事になる。
「まあでも、セックスはセックスね。普通に気持ちよかった」
「そう?」
「アイツじゃなくてもよかったんだわ。馬鹿みたい」
背中を向けたまま俯く。言葉の端が少し震えていた。
「帰ってきたみたいだけど、もういいわ。
こっちが出てってやるわよ」
「あっそ」
他所の色恋沙汰には興味ない。
だけど一緒に住むというのはゲイにとっちゃもう結婚と同意義だ。部屋の名義とか家賃払わずバックレるとか揉めることも多いらしい。
ゲイの世界でも別れる方が手間がかかるのだ。
ホテルを出てサクラと別れる時、
「じゃあね、今度はもっといい男とセックスするわ」
セックスの間俺の顔を見ようともしなかったヤツが、ニッと笑って手を振っていた。
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