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Where Can I Go Without You②

ホテルに行く道すがら、ケントはボーっと周りを見ながら歩いてた。たまに、すれ違う人間の顔を追っている。まるで誰かを探すように。 俺と目が合うと、ニッコリ笑って腰に手を回してきた。 「やめとけ」 「イイじゃない。今はボクのsweetなんだから」 今度は髪を梳いてくる。ダメだこりゃ。お互い日本語を話しているはずなのに噛み合わない。 冷める前にセックスしてしまおうとなるべく急いで足を進めたが、ケントの方が体格がいいので大して変わらなかった。 部屋に入って服を脱ぎ始めると 「まって」 と顎を持ち上げて唇が重ねられた。優しく抱きしめられて、角度を変えながらそれは繰り返される。 「せっかくだから、ゆっくり楽しもうよ」 ケントの碧眼が蕩ける。 「じゃあ準備するから」 「vanillaでいいよ。時間がもったいない」 また唇が落ちる。 舌で触らなかったところはなかったんじゃないかってくらい、口の中を味わい尽くされた。ベッドに倒されて、Tシャツの上から至る所にキスの雨が降る。 服を脱ぐと、デカい手が繊細に身体の線をなぞって、解して、肌を撫でる。 こうやって丁寧に扱われるのは落ち着かない。ちょっと雑なくらいがいいんだけど。別にMっ気があるわけじゃない。こっちも気を遣わなくていいから、そっちの方が気が楽なのだ。 「So sweet・・・」 ケントが頬に手を添える。 「日本語しゃべって」 ケントは髪と同じ色をした眉を下げた。 「もっとかわいがってあげたいケド、I can't・・・ガマンできない」 確かに腹に当たるケントのソレはガチガチだった。 「口でできル?」 ケントは俺の唇をなぞる。 「いいよ」 体を起こそうとすると 「待って。ボクもしてあげる」 下半身を顔の前に持ってきた。シックスナインの体勢になる。ケントのは普通よりデカいくらいで、AVとかエロ漫画みたいなめちゃくちゃな大きさではなかった。それよりも手が大きくて、ほとんど全体が包まれている。先を口の中に含まれれば、挿れているみたいに気持ちよかった。 呼吸が浅くなって、咥えているのがちょっと苦しくなってきた。舌を這わせたり口付けたりして息を整える。だけど俺の方が先にイッてしまった。 「It was good?」 ケントは微笑みを浮かべた口の周りを拭きながら言う。だから日本語喋れ。だけどまだ言い返す余裕がない。余韻に浸っていると、ケントは俺の手をまだ勃っているソイツのに当てる。抜けってか。 フェラの続きをやってやる。 「Feels good・・・」 後頭部でケントの指が髪を弄んでいた。 吐息が漏れるのが聞こえる。それはだんだん熱を帯び荒くなっていく。余裕がないのか、英語しか出てこない。 「・・・It seem to all ready・・・!」 ぐっと顔を押し付けられる。 「Cum・・・inside?」 何言ってるかわからないけど、イキそうなのかな。余裕なくなってるし。 「ん、いいよ」 口を離した瞬間、顔半分に熱い液体がかかった。 「Sorry!All right?」 「平気」 珍しいことじゃない。ティッシュで顔を拭くと、「よかったよ」と額にキスされた。 「まだする?」 時間はまだ半分以上ある。 「ちょっと休憩。おいで」 ああ、イチャつきたい訳か。ケントの隣に寝そべった。 恋人同士みたいにしたがるヤツもたまにいるから付き合ってやる。大抵相手が勝手に盛り上がってセックスにもつれ込むし。 ケントは腕枕をしながら髪を撫でてくる。なんで初対面のヤツにこんなうっとりした目を向けられるんだろ。 「Really dear・・・」 思ったとおり、頬や額に触れていた唇は唇を啄むようになって、軽く触れるだけだったキスが段々とヤらしくなってきた。 「want you・・・Vick・・・」 そう呟いた途端、ケントは夢から覚めたような顔をして 「ゴメン・・・」 と頬を擦り付けた。ん?なんだ?耳を掠めたのは何かの単語か、それとも誰かの名前なのか。 顔にクエスチョンマークを貼り付けたままでいると、ケントは薄く笑って、また恋人にするように俺を抱いた。

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