24 / 31
Where Can I Go Without You②
ホテルに行く道すがら、ケントはボーっと周りを見ながら歩いてた。たまに、すれ違う人間の顔を追っている。まるで誰かを探すように。
俺と目が合うと、ニッコリ笑って腰に手を回してきた。
「やめとけ」
「イイじゃない。今はボクのsweetなんだから」
今度は髪を梳いてくる。ダメだこりゃ。お互い日本語を話しているはずなのに噛み合わない。
冷める前にセックスしてしまおうとなるべく急いで足を進めたが、ケントの方が体格がいいので大して変わらなかった。
部屋に入って服を脱ぎ始めると
「まって」
と顎を持ち上げて唇が重ねられた。優しく抱きしめられて、角度を変えながらそれは繰り返される。
「せっかくだから、ゆっくり楽しもうよ」
ケントの碧眼が蕩ける。
「じゃあ準備するから」
「vanillaでいいよ。時間がもったいない」
また唇が落ちる。
舌で触らなかったところはなかったんじゃないかってくらい、口の中を味わい尽くされた。ベッドに倒されて、Tシャツの上から至る所にキスの雨が降る。
服を脱ぐと、デカい手が繊細に身体の線をなぞって、解して、肌を撫でる。
こうやって丁寧に扱われるのは落ち着かない。ちょっと雑なくらいがいいんだけど。別にMっ気があるわけじゃない。こっちも気を遣わなくていいから、そっちの方が気が楽なのだ。
「So sweet・・・」
ケントが頬に手を添える。
「日本語しゃべって」
ケントは髪と同じ色をした眉を下げた。
「もっとかわいがってあげたいケド、I can't・・・ガマンできない」
確かに腹に当たるケントのソレはガチガチだった。
「口でできル?」
ケントは俺の唇をなぞる。
「いいよ」
体を起こそうとすると
「待って。ボクもしてあげる」
下半身を顔の前に持ってきた。シックスナインの体勢になる。ケントのは普通よりデカいくらいで、AVとかエロ漫画みたいなめちゃくちゃな大きさではなかった。それよりも手が大きくて、ほとんど全体が包まれている。先を口の中に含まれれば、挿れているみたいに気持ちよかった。
呼吸が浅くなって、咥えているのがちょっと苦しくなってきた。舌を這わせたり口付けたりして息を整える。だけど俺の方が先にイッてしまった。
「It was good?」
ケントは微笑みを浮かべた口の周りを拭きながら言う。だから日本語喋れ。だけどまだ言い返す余裕がない。余韻に浸っていると、ケントは俺の手をまだ勃っているソイツのに当てる。抜けってか。
フェラの続きをやってやる。
「Feels good・・・」
後頭部でケントの指が髪を弄んでいた。
吐息が漏れるのが聞こえる。それはだんだん熱を帯び荒くなっていく。余裕がないのか、英語しか出てこない。
「・・・It seem to all ready・・・!」
ぐっと顔を押し付けられる。
「Cum・・・inside?」
何言ってるかわからないけど、イキそうなのかな。余裕なくなってるし。
「ん、いいよ」
口を離した瞬間、顔半分に熱い液体がかかった。
「Sorry!All right?」
「平気」
珍しいことじゃない。ティッシュで顔を拭くと、「よかったよ」と額にキスされた。
「まだする?」
時間はまだ半分以上ある。
「ちょっと休憩。おいで」
ああ、イチャつきたい訳か。ケントの隣に寝そべった。
恋人同士みたいにしたがるヤツもたまにいるから付き合ってやる。大抵相手が勝手に盛り上がってセックスにもつれ込むし。
ケントは腕枕をしながら髪を撫でてくる。なんで初対面のヤツにこんなうっとりした目を向けられるんだろ。
「Really dear・・・」
思ったとおり、頬や額に触れていた唇は唇を啄むようになって、軽く触れるだけだったキスが段々とヤらしくなってきた。
「want you・・・Vick・・・」
そう呟いた途端、ケントは夢から覚めたような顔をして
「ゴメン・・・」
と頬を擦り付けた。ん?なんだ?耳を掠めたのは何かの単語か、それとも誰かの名前なのか。
顔にクエスチョンマークを貼り付けたままでいると、ケントは薄く笑って、また恋人にするように俺を抱いた。
ともだちにシェアしよう!