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第一章・9
そんな駿にも、光はある。
憧れの、篠崎(しのざき)先輩。
Ωでありながら、生徒会の書記を務めるほど優秀な男子生徒だ。
Ωの希望の光、などと揶揄されることもあったが、本人はいたって平然としている。
そんな高潔な態度も、駿の憧れだった。
「いいなぁ。篠崎先輩みたいに、なりたいなぁ」
解ってる。
それは、無理。
でも、だったらせめて、傍に居たい。
彼と、話をしてみたい。
「一度だけで、いいのです。……っと」
駿は、手紙を書いていた。
宛先は、もちろん篠崎だ。
一度でいいから、僕と会って話をしてください、としたためた。
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