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第一章・10
封に入れ、篠崎を想う。
温かく、優しい光を放つ篠崎先輩。
「大丈夫。篠崎先輩なら、きっと僕の願いをきいてくれる」
曲者揃いの生徒会役員の中で、唯一の良心とも言われている篠崎だ。
その穏やかで誠実な人柄は、学校中の人間が知るところだ。
駿は、その手紙を篠崎に手渡すつもりだった。
篠崎先輩、どんな顔するかな。
受け取ってくれるかな。
駿は、篠崎から好反応をもらえると、信じていた。
あの篠崎先輩が、Ωだからって僕を邪険にするはずがない。
篠崎先輩だって、Ωなんだもの。
そして、あんなに優しいんだもの。
明日を楽しみに、駿は眠りに就いた。
夜中に何度も目を覚ましたが、篠崎を想って静かに瞼を閉じた。
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