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第一章・12

 さぁ、次に出てくるのは、篠崎先輩だ。  篠崎は、他の役員と笑い合いながら、ドアから廊下へ出て来た。  そして、歩いて。  角を曲がった、ここだ! 「先輩! これ、読んでください!」  駿は恥ずかしさに顔を下に伏せたまま、手紙を両手に持って差し出した。 「また、ラブレターか。相変わらずモテるな、天宮司(てんぐうじ)は」  え?  天宮司?  駿は、がばと顔を上げた。  何という事だろう。  駿が夢中で手紙を押し付けた相手は、篠崎の隣にいた、生徒会長・天宮司 伊織(てんぐうじ いおり)だったのだ! 「直訴状とは、勇気があるな」 「あ! いえ、これは、その!」  篠崎先輩への手紙なんです、とは言えなかった。  伊織の鋭い眼が、すでに駿を値踏みにかかっていた。

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