12 / 223
第一章・12
さぁ、次に出てくるのは、篠崎先輩だ。
篠崎は、他の役員と笑い合いながら、ドアから廊下へ出て来た。
そして、歩いて。
角を曲がった、ここだ!
「先輩! これ、読んでください!」
駿は恥ずかしさに顔を下に伏せたまま、手紙を両手に持って差し出した。
「また、ラブレターか。相変わらずモテるな、天宮司(てんぐうじ)は」
え?
天宮司?
駿は、がばと顔を上げた。
何という事だろう。
駿が夢中で手紙を押し付けた相手は、篠崎の隣にいた、生徒会長・天宮司 伊織(てんぐうじ いおり)だったのだ!
「直訴状とは、勇気があるな」
「あ! いえ、これは、その!」
篠崎先輩への手紙なんです、とは言えなかった。
伊織の鋭い眼が、すでに駿を値踏みにかかっていた。
ともだちにシェアしよう!