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第一章・13

 痩せて小さな体に、青白い肌。  癖のある淡い色の髪に、擦り切れた制服。 「ふん。貧困Ωか」 「そうです!」  だから、早くその手紙を返してください。  僕はそれを、篠崎先輩に渡したいんです!  ところが伊織の次の行動は、駿を絶望させた。 「だが、その度胸に免じて、手紙は読んでやろう。光栄に思いたまえ」 「ええッ!?」  良かったな、と篠崎は駿に微笑んだ。  違うんです!  そう、駿は叫べなかった。  篠崎と同じく、伊織も光のような存在だ。  だが、その光は駿にとっては眩しすぎた。  温かな、優しい光の篠崎とは違い、人を射て、焼いてしまうような伊織の光。  その光に気圧され、一言も話せなかった。  ぽつんと廊下に独り残され、涙を零すしかなかった。

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