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第二章・2
駿は伊織の鞄を持つと、彼の後に従って自動車に乗った。
黒塗りのセンチュリーが、滑るように走り出す。
自家用車になんか乗ったこともない駿は、目をぱちぱちさせて内装や車窓を見ていた。
そこへ、助手席から身を乗り出し、護衛の男が駿に話しかけて来た。
「おい、金曜日の少年」
「あ、僕のことですね」
今日一日、粗相のないように、と男は従者が果たすべき役割について教えてくれた。
「……そして、伊織さまが入浴を終えられたら」
そこで、車は学校に着いてしまった。
先が気になるところだったが、駿は慌てて外へ出た。
ドアを大きく開けて、伊織が降りやすいスペースを確保する。
「どうぞ、伊織さま」
「うん」
駿の、一日従者が始まった。
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