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第二章・4
「おや? 君は昨日の」
「御影 駿。私の新しい従者だ」
おやおや、と篠崎は駿に笑顔を向けた。
「それは大変だ。大役、頑張れよ」
「はい!」
篠崎はそのまま行ってしまったが、駿の満面の笑顔は消えなかった。
その表情に、伊織は気分を害した。
「笑顔! なぜ篠崎に見せて、私には見せないんだ!」
「そ、それは」
「笑って! もっと! もっとだ!」
伊織相手に笑顔の練習までさせられる、駿。
(これは篠崎先輩の言った通り、大変だ)
笑い過ぎて、引き攣ってきた頬を意識しながら、駿は泣きそうだった。
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