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第二章・8

 放課後は、生徒会長としての仕事が伊織には待っている。 「篠崎に会える、と喜んでいるだろう」 「いえ、そんな」  本音をズバリと当てられて、駿は慌てた。  だが、伊織の次の言葉に肩を落とした。 「残念だが、今日は活動日ではないのだ。帰宅するぞ」 「はい……」  君は本当に解りやすい奴だな、と笑う伊織。 「ほら、もう下足棟だぞ。靴を出せ」 「あ、はい」  ピカピカの革靴の後ろから、汚れて穴の開いたスニーカーが付いてくる。  校門には、朝のリムジンが待っていた。  朝と同じように、駿は伊織の後で自動車に乗り込んだ。  ボロボロの靴を恥じながら、自動車に乗り込んだ。

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