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第二章・12

「うん、私の従者らしくなったな」  伊織も、笑みを浮かべている。 「そうだ。君に見せたいものがある」 「何でしょう」  駿は伊織にいざなわれ、庭へ降りた。  庭木が、見事な紅葉に色づいている。 「綺麗だな……」 「駿、私がイメージしていた菊は、これだ」  そこには、見事な大輪の菊が所狭しと並んでいた。  黄、白、紫、様々な色に、花弁の形も異なった大菊だ。  そして、豪華絢爛な菊人形もあった。  繊細な彫りの日本人形を、菊の花や葉が衣装として彩る。 「……」 「どうした。感想は?」

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