33 / 223
第二章・14
夕食は、恐れ多くも伊織とテーブルを共にした。
「医師の診断書と説明から、駿は深刻な栄養失調状態にあることが判明した」
「はぁ」
「何だ、そのリアクションは」
「いえ、多分そうだろうなぁ、と」
何せ、毎日一食摂れれば上等、といった赤貧暮らしなのだ。
自分の体格が、他人と比べて格段に貧相なことも承知している。
もっと深刻になるんだ、と伊織は渋い顔だ。
「今日一日、天宮司の諜報員が君の家庭を調査した」
「え」
「父親は蒸発。母親は家を離れがちで、定職にも就かずギャンブル三昧」
「はい」
「不憫に思った祖父母が高校へ進学させてくれたが、来年度の授業料を払える見込みがない」
「はい」
ともだちにシェアしよう!