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第二章・15

 自分が不幸だとは思わないのか、と伊織は少し大きな声を上げた。 「でも、今は幸せです。こうして伊織さまにプレゼント貰えて、菊を見て。一緒に食事までできて」  何てささやか過ぎる幸せだ、と伊織は天を仰いだ。 「生まれてきた以上、君は幸せをつかむ努力をすべきだ」 「では、頑張ってみます」 「その意気だ、忘れるな」  伊織はその後、黙って食事に専念したので、駿も習ってただ食べた。  食事の後はオーディオルームで音楽を楽しみ、その後バスタイムとなった。  確か、朝の話では、伊織の背中を流すことになっている。  自分の家より広い浴室に入り、駿は伊織に声をかけた。 「お背中、洗います」 「ああ」  大きなバスタブから上がり、伊織は駿に背中を見せた。

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