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第二章・19
手足までばたつかせ、必死に拒む駿。
それでも伊織は容赦なかった。
力に任せて駿を抑え込み、その肌に口づけを落として舌を這わせた。
「イヤぁ。ヤだぁあ……」
やがて力尽きたのか、諦めたのか、駿は大人しくなった。
だが、泣いている。
嗚咽を漏らし、涙を零し、鼻をすすっている。
ご機嫌なベッドタイムを味わおうと思っていた伊織だったが、駿の泣き声に動揺した。
どんなに愛撫を凝らしても、しんとして熱くならない駿の身体を異様に感じた。
「どうした。気持ち悦くないのか」
「ない、です」
「君はΩだろ。発情しないのか?」
「まだ、したことありません……」
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