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第二章・22
じゃあ、キスだけ。
そう、伊織は真正面から駿を見た。
「今夜は、キスだけにしておこう」
ただ、と横柄に唇を曲げる伊織だ。
「君の方から、キスするんだ。私のことが、好きなんだろう? だったら、出来るはずだ」
「え……」
伊織が、こちらを見据えている。
僕は、伊織さまの従者。
金曜日の少年。
だったら、命令には従わなきゃ。
……それだけ?
キスの理由は、本当にそれだけ?
「伊織さま」
「ぅん?」
「好き、です」
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