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第二章・23

 駿の柔らかで、少しかさついた唇が伊織の口に重なった。    僕は、この人が好き。  眩しすぎる光を放つ、手の届かない太陽。  だけど、今日一日で、いろんな顔を見せてくれた。  他の人の知らない面を、僕だけに見せてくれた。  ありがとうございます、伊織さま。  長い、しっとりと濡れたキスをした。  唇を離しては、まだ名残惜しいように何度でも重ねた。  面白いΩだ。  従順なペットにはちょうどいいと思っていたが、これは規格外だ。  今まで、私の周りにはいなかったタイプ。  彼を、見たい。  その心の奥底まで。  その心が、どこへ向かうのか、その先を知りたい。  

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