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第二章・26
「そういえば」
駿は、運転手から預かった伊織の手紙を慌てて開いた。
『公共料金の滞納は、全て支払っておいた。それから、テーブルの上の携帯は駿、君の物だ。そのうち電話やメールを楽しもう。携帯の下に置いてある封書は、従者の日当だ。君がまっとうな手段で手にした金銭なので、遠慮せず受け取りたまえ』
「日当、って」
見た目ですぐに解る分厚さは、札束だ。
くらくらしている駿に、耳慣れない音が響いた。
「何? あ、携帯!?」
もしもし、と出てみると、優しい声が聞こえて来た。
「御影くん? 篠崎です」
「篠崎先輩!」
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