49 / 223
第三章・3
これからお屋敷に行って、いつものように勉強したりジムで運動したりするのだ。
しかし、そんな駿は、伊織と顔を合わせることはない。
同じ屋根の下にいる、というのに。
伊織さまと、お茶を飲んだり、花を見たりしたいのに。
会えるのは、金曜日だけ。
そう、僕は金曜日の少年だから。
そこまで考えて、ようやく駿はあることに気が付いた。
「僕の他に、木曜日の少年や、土曜日の少年がいるんだ」
そして伊織さまは、その少年たちと楽しく過ごしてるんだ。
きゅっ、と胸が苦しくなった。
何だろう、この感じ。
今まで経験したことのない、感覚。
なぜだろう。
急に、伊織さまに会いたくなった。
ともだちにシェアしよう!