51 / 223
第三章・5
お屋敷に出入りするようになってから、一か月近くが経っていた。
伊織が居そうな部屋は、目星がついている。
「今の時刻なら、お茶の時間だ」
ティールームか、茶室。
でなければ、庭園で野点だろう。
今日は寒いので、庭園はなかろうと駿はティールームへ向かった。
「ここだ」
どうしよう。
どきどきしてきた。
「何か?」
護衛の男が、ドアの前に立っている。
知らない顔ではないので、駿は素直に話した。
「伊織さまに、会いたいんですけど」
ともだちにシェアしよう!