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第三章・7

 駿は自宅に帰り、夕食を広げた。  いつもなら、伊織の屋敷で食べるはずのディナーだが、今日はテイクアウトにしてもらったのだ。  広い部屋で、独りで食べる夕食の味気無さに気づいてしまった。  別室で、伊織が他の少年と共に食事を楽しんでいると考えると、いたたまれなくなった。 「どうしちゃったんだろ、僕」  夕食は食べずに、スマホをいじる。  伊織宛てのメールを打っては、消している。  今ごろ伊織さまは食事を終えて、音楽を聴いてらっしゃるのかな。  映画かもしれない。  木曜日の少年と! 「ああ、もう。どうしちゃったんだろう、僕!」  わけもなく、泣けた。  

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