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第三章・9

 駿は伊織に返信した。  スマホの操作も、もう慣れた。  だが、嘘を付けない素直な性格はそのままだ。 『伊織さま、おはようございます! 昨夜の夕食が、今朝の朝食になるところです。お屋敷には遅刻しませんので、ご安心ください』  通常ならば伊織に心配をかけまいと、夕食は食べたと小さな嘘をつくところだ。  駿には、それができない。  素のままの自分を、いつも晒していた。  特に、伊織には嘘がつけなかった。  笑われようが、怒りを買おうが、自分は自分。  それで捨てられても、その時はその時。  そんな頑固な潔さを、駿は持っていた。

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